11月30日(水)から3日間、スペイン・バルセロナのカタルニア・サーキットで行なわれるバイコレスのテストに、1997年のF1世界チャンピオンであるジャック・ビルヌーブが参加。ギブソンエンジン搭載の新開発ル・マン・ハイパーカー(LMH)車両『ヴァンウォール・バンダーベルLMH』のステアリングを握ることになるようだ。

 今回の走行テストにはビルヌーブの他にも、これまでの走行を担当してきた開発ドライバーのトム・ディルマンとエステバン・グエリエリに並び、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラが参加する。

 オリベイラは2010年にフォーミュラ・ニッポン(現在のスーパーフォーミュラ)でタイトルを獲得。その後は日本を中心に活躍し、直近3年間ではスーパーGTのGT300クラスで2度チャンピオンに輝いている。バイコレスとは2002年のドイツF3参戦をキッカケに繋がりを持っている。

 なお、オリベイラの現地入りは確証が取れている一方で、ビルヌーブのテスト参加についてはチームからの確認はまだ取れていない。

 ビルヌーブの耐久レースでの経歴を振り返ると、2007年と翌2008年のル・マン24時間レースでプジョー『908 HDiターボディーゼルLMP1』をドライブ。2年目にはマルク・ジェネ、ニコラス・ミナシアンと共に総合2位を獲得している。

 プジョー加入の際にビルヌーブは、F1のタイトルと1995年のインディ500制覇というポートフォリオにル・マン勝利の功績を加えたいと考えており、現在もル・マン参加に意欲を示している。

 なおビルヌーブは「F1タイトル、インディ500制覇、ル・マン24時間制覇」をモータースポーツにおける”トリプルクラウン”と呼んでいるが、F1タイトルよりもモナコGP制覇というのが三冠の通例。ビルヌーブのモナコGPでの最高位は、BAR時代の2001年に記録した4位である。

 今年ビルヌーブは、チーム・へゼルベルグ・フォードからデイトナ500 NASCARカップのブルーリボンに参加。9月にはアルピーヌF1の2021年型マシン『A521』をドライブしたが、最新のスポーツカーレースという点では、フェラーリ『488 GT3 Evo』で参戦した2019年のイタリアGT選手権の3ラウンド制耐久レースが最後だ。

 バイコレスは、3月にドイツ・ツヴァイブリュッケンの飛行場でヴァンウォールLMHのシェイクダウンを行なうと、4月にはチェコのモスト・サーキットで初のテストを実施。7月にはドイツのユーロスピードウェイ・ラウジッツで2回目の走行テストを行ってきた。

 バイコレスは2023年から、「ヴァンウォール・レーシング」の名称で世界耐久選手権(WEC)に最低1台はエントリーさせると見られている。

 元々バイコレスは、2022年シーズンの第2戦スパ・フランコルシャン6時間レースからのWEC参加を目指していたが、シリーズを共同主催するFIAとACOに却下されたため、これを断念した。

 シリーズの代表であるフレデリック・ルシアンは、ヴァンウォールの参戦を拒否した具体的な理由を明かさなかったものの、1958年にF1コンストラクターズタイトルを獲得したF1チームの名称を使用するバイコレスの権利に関する懸念や、旧LMP1規定で同社がエントリーさせた『CLM P1/01』の成績の低さが、その中に含まれていたと理解されている。

 またLMH規定では、各エントラントは市販車と関連づけたマシンを参戦させる必要がある。ヴァンウォールは、1000馬力のハイブリッドスポーツカーと、サーキット走行専用のエクストリームマシンの開発を計画。さらなる車両開発のプランもあるという。