レッドブルF1のチーフテクニカルオフィサーを務めるエイドリアン・ニューウェイは、2022年には圧倒的な強さでダブルタイトルを獲得したものの、2023年はフェラーリとメルセデスが復活することにより、厳しい1年になると覚悟しているという。

 レッドブルにとって2022年は、マックス・フェルスタッペンがシーズン15勝をマークする偉業もあって、2013年以来のダブルタイトルを獲得する大成功の1年となった。

 しかし2021年に予算上限を超過したペナルティにより、2023年は空力テストの制限を追加で受けた上でタイトル防衛を目指すことになる。

 コンストラクターズタイトルを獲得したレッドブルは、ランキングの順位に応じて空力開発時間が増減するハンディキャップ制により、風洞などの空力試験時間は最短となる。だがペナルティにより、そこからさらに10%試験時間が削減されることになったのだ。

 ニューウェイは、「風洞実験が減るということは、それだけ色々なコンポーネントやアイデアを評価できなくなることを意味する」と説明する。

「我々が本当に賢く、常に適切なモノをモデルに(テスト)していれば、もちろん大きな違いは生まない」

「フェラーリも休んでいるわけではなく、自分たちの弱い部分を整理しているはずだ。彼らは信頼性の問題をいくつか抱えていたし、ピットウォールでのミスもあった。だからすぐにでも戻ってくるだろう」

「そしてもちろん、メルセデスはペース面でかなり離されたクルマでスタートし、終盤のレースで1勝するまでに進化させた」

「彼らがすぐそこにいることは分かっている。だから、タフな1年になることは間違いない」

 そのメルセデスにサンパウロGPでの優勝を許したものの、レッドブルはシーズン後半の11戦で10勝を挙げるなど、圧倒的な強さを誇った。

 ニューウェイは、レッドブルが2022年のマシン『RB18』で達成したことを「とても誇りに思う」と語り、開発の余地を確保することに集中したと語った。

「我々は基本的なことを正しく理解することに集中した。フロントとリヤのサスペンション、モノコックやラジエーターのレイアウトなどを含めて、パッケージを適切にしようとしたんだ」

 そうニューウェイは言う。

「最初は最速のマシンではなくとも、シーズンを通じて発展させることができるようなパッケージを作るためだ」

「シーズン前のテストでは、現地に行く前から少し不安もあったので、すでにいろいろと調べて、何を改善すればいいのか、だいたい分かっていた」

「バーレーンでレース1パッケージを装着したとき、レース直前までフェラーリの後塵を拝していた我々が、一気に肉薄したと言える」

「シーズン前半のクルマは確かに弱点があった。もちろん、今でも弱点はある。でも、その弱点を減らしていって、後半には完全に競争力のあるパッケージになったんだ」