アルピーヌF1は2023年シーズンも引き続きエステバン・オコンを起用するが、チーム代表のオットマー・サフナウアーは彼にある点で改善を促している。

 サフナウアーは現在だけではなく、2017〜2018年のフォース・インディア/レーシングポイント時代にもオコンと共に仕事をしてきた経験がある。

 そんなサフナウアーがオコンに対して改善を促しているのは、チームメイトとホイールトゥホイールの接近戦を演じている際の判断だ。

 2022年シーズンのレースを振り返っても、オコンがチームメイトとの間で緊張が走る瞬間はあった。特にサンパウロGPのスプリントでのフェルナンド・アロンソとの2度にわたる同士討ちは、その最たる例だろう。

 2023年にアルピーヌはアロンソの後任としてピエール・ガスリーを起用する。サフナウアーはオコンに対し、経験から学んで2023年は同じことを繰り返さないことを望んでいると語った。

「彼はチームメイトが隣にいるとき、より良い判断をする必要があるだろう。チームメイトであろうとなかろうと、オープニングラップは勝ち負けではないからだ」

 サフナウアーはそう語る。

「そしてライバルに対してアグレッシブになりすぎれば、両者とも共倒れだ。それがチームメイトに対して発生した場合、誰の損失になると思う? つまり、より良い判断を下して、あとで捕まえろということだ」

 なおオコンにそういった考えは伝わっているのかと聞かれたサフナウアーは「伝えている。思い出させる必要があるなら、喜んでリマインドを送ろう」と語った。

 オコンに注意を促しているサフナウアーだが、その一方で彼はオコンがドライバーとして成長していることは認めている。

 その一例としているのが、2021年のハンガリーGPにおけるセバスチャン・ベッテルからの激しいプレッシャーを退けての勝利や、ルイス・ハミルトン(メルセデス)に追われながらも4位となった2022年日本GPだ。

「彼は間違いなく、より成熟している」と、サフナウアーは言う。

「より理解が深まっているんだ。エステバンについて本当に満足してる点は、彼がプレッシャーに晒されているときに、ミスをあまり犯さないというところがある。ベッテルと対峙して勝利したとき、それを垣間見ることができた。速いマシンがあり、彼はミスもしなかったんだ」

「マシンをしっかりと操り、ひとつのミスもなく勝利を手にした。(路面が)乾いていく状況にあった鈴鹿も、ドライビングが簡単では無いコースなのに、ずっと速いマシンに乗るルイスを後ろに抑えてゴールしたことも、より印象的なモノにしてくれたと思う」

「私にとっては印象的なものだった。彼は成熟しているし、その点で良くなってきている。速さもあるんだ。だが彼はもっと改善できる。いくつかの部分で、より良くしていくために我々も努力するつもりだ」