トヨタWEC、LMHマシンのカスタマー供給は「予定にないが、可能」LMDhは安さがウリも運営コストはLMHと同等?
LMDhマシンは比較的安価な選択肢だとされているものの、トヨタとしてはカスタマーにLMHマシンを供給することも可能だとの考えを示している。
WECのハイパーカークラスとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のGTPクラスというスポーツカーレースの頂点で戦う上で費用対効果の高い選択肢として考案されたLMDhマシンは、外部コンストラクターが作成する次世代LMP2シャシーに固定価格でサプライヤーから供給される標準ハイブリッドシステムを搭載。ボディデザインやエンジンにある程度の自由度を持たせながらも、マシン開発費を抑えられることで、多くの自動車メーカーがLMDhマシンの開発に名乗りを上げている。
それに加えて、ル・マン24時間レースやデイトナ24時間レースなど名だたるレースへの参戦を希望するプライベーターとしても、各メーカーが製作するLMDhマシンは魅力的な選択肢になっている。『963』を投入するポルシェは既にLMDhプログラム初年度ながらも、WEC及びIMSAで4台のカスタマー963を販売することに成功している。
一方、LMDhマシンよりも技術的自由度が高いものの、独自にシャシーやパワートレインを開発する必要のあるLMH勢は、今のところカスタマー契約によって外部にマシンを供給したメーカーはいない。
トヨタは、2022年シーズンにタイトルを獲得したGR010をカスタマーに供給する予定はないものの、プライベーターにとってLMDhマシンとLMHマシンの扱いには大きな違いがないと考えている。
トヨタやフェラーリ、プジョーが製作したLMHマシンをカスタマーチームが走らせることは可能か、そうトヨタでテクニカル・ディレクターを務めるパスカル・バセロンに尋ねると、彼は次のように答えた。
「間違いなく可能だ」
「それが現在の我々の戦略なのかと訊かれれば、そうではない。でも、間違いなくその可能性はある。LMHでカスタマーチームが参加することは可能だろう」