直近3年でGT300タイトル2回……GT-R勢の中でも際立った強さ見せるKONDO RACING。「チームとしての精度が高い」と藤波清斗
GT500では長きに渡って戦い続けているKONDO RACINGだが、GT300への参戦をスタートしたのは2019年のこと。それまでスーパー耐久で取り組みを行なってんでいた日産自動車大学校との共同プロジェクトを昇華させる形での参戦で、学生達や日産ディーラーのメカニックと共に戦うような体制を敷いているが、平峰一貴とサッシャ・フェネストラズを起用した初年度から好成績を残し、現在の藤波/デ・オリベイラ組となってからは選手権で1位、2位、1位と盤石な強さを見せている。
2年ぶりのタイトルを手にした藤波は2022シーズンを振り返り、「2021年もタイトルを獲りたかったのですが獲れなかったので、その悔しい思いが爆発しました。2回獲ることってなかなかできないので、夢のようです」と語っていたが、実はタイトルを逃したこと以外でも“悔しい思い”をしていた。その思いは、2022年の開幕戦岡山でも見え隠れしていた。
2022年の開幕戦を優勝で飾った56号車だったが、その優勝記者会見の中で前年にタイトルを逃していることに話題が及ぶと、藤波は次のように漏らしていた。
「去年はBoP(性能調整)が本当に……GT-Rが速い速いと言われていました。でもGT-Rが速いじゃなくて、56号車が速いと言って欲しくて。それがすごく悲しいです」
鬼気迫る表情でそう話す藤波の姿は非常に印象的だった。GT300クラスは多種多様な車両規格、車種が存在するため、それらを性能調整によってコントロールして均衡を保とうとしているが、確かにその中で日産GT-R NISMO GT3が「BoP的に有利」だと主張する声もある。藤波はそういった声に一定の理解を示しながらも、そのせいでKONDO RACINGのチーム力が認められていないような風潮があることに悔しさを覚えていたようだ。
「GT300にはBoPがあって、GT-Rは有利だ有利だと言われていました。でも、GT-Rを使っているチームの中で56号車が強いと言ってもらえるようになりたいという思いがありました」
会見での発言について、そう回想する藤波。ただ、2022年に2度目のタイトルを獲得したことで、彼らがGT300で活躍するGT-R勢の中でも一歩抜きん出た強さを持っていることを誇示することができたはずだ。そんなKONDO RACINGの強さはどういったところにあるのか? 藤波は次のように話す。
「チーム力ですね。データも豊富です」
「スーパーGTは走れる時間が短い中で、持ち込みのセットアップやタイヤのチョイスなどが重要になってきますが、僕らはチームとしての精度が高いと考えていますです。エンジニアも含めてしつこいほどに準備をしてくれるので、自分たちは良いクルマでレースをさせてもらっているんだと、しみじみと感じています。(サクセスウエイトが)重い中でも、その重さを感じさせないような走りはここ3年間で1番できたのではないかと思います」
チーム力のあるKONDO RACINGと共に2度のGT300王座に輝き、自らのドライバーとしての実力も十二分に証明した藤波。日産/ニスモは未だ2023年シーズンのラインアップを発表していないが、日産系チームを率いる松村基宏総監督は藤波がGT500の昇格候補であることを明らかにしており、藤波も自らにGT500でも通用する実力があると自信を持っている。無論、日産陣営には実績ある中堅・ベテランが既に数多く在籍しており、昇格を狙う若手も複数いる状況だが、最終的にはどのような布陣となるのか? 目が離せない。