佐藤琢磨、2023年は名門チップ・ガナッシ・レーシングへ移籍。オーバル戦のみ出場で3度目のインディ500制覇目指す
7シーズンに渡りF1を戦った佐藤。インディカーに戦いの場を移してからはアジア人として初となるインディ500制覇を2017年に成し遂げ、2020年には2勝目。歴史的に見てもたった20人しかいない、インディ500を複数回勝ったドライバーのひとりとなった。
インディカー参戦13年目となった2022年シーズン、佐藤はデイル・コイン with リック・ウェア・レーシングから参戦したが、最終的なランキングは19位。レースではゲートウェイ戦での5位が最高位だった。
今年の1月28日には46歳を迎える佐藤。2023年へ向けて、様々なチームから届いたオファーを検討する中で彼が選択したのは、名門のチップ・ガナッシだった。
チップ・ガナッシは、過去15シーズンで9度のチャンピオンを輩出。2022年のインディ500でも、同チーム所属のマーカス・エリクソンが優勝しており、他にもスコット・ディクソンやアレックス・パロウなどを擁するという強力な布陣を敷いている。
佐藤は2023年、そんなチップ・ガナッシの11号車を駆りオーバル戦5レースにのみ出場。その他の市街地サーキット/ロードコースでは、昨年までFIA F2に参戦していたマーカス・アームストロングが11号車のステアリングを握ることとなった。
新天地で望むインディ500での3勝目に向けて、佐藤は次のように意気込んだ。
「2023年はチップ・ガナッシ・レーシングに加入します。車体番号は11で、若いマーカス・アームストロング選手がロードコース/市街地を担当し、私はオーバルを担当するという形で2023年のインディカーに挑戦することを決めました」
「これまで本当に沢山のスポンサー、ファンの皆様のご支援があり、自分自身もこうしてレースを続けられることに関して感謝の気持ちしかありません。今回非常にユニークで心強い契約を可能にしてくれた代表のチップ・ガナッシ、マイク・ハル(マネージングディレクター)に心から感謝しています」
「この契約をまとめるにあたり、本当に沢山のスポンサーの方々がご支援してくれました。引き続き最大限の調整をしながら、自分の求める形でインディ500に参戦したいと思います。その準備を早く始めたくて非常にワクワクしています」
「チップ・ガナッシ・レーシングに関しては、僕が説明するまでもなく、30年に渡りトップを邁進し続けているチームです。昨年のインディ500でもマーカス・エリクソン選手が優勝していますし、常にリスペクトし合いながらも”永遠のライバル”であるスコット・ディクソン選手、若手のアレックス・パロウ選手とこれ以上にない体制の中で、改めてインディ500に挑戦できることを非常に楽しみにしています」
また、2022年末限りでデイル・コインを離れる理由について、佐藤は次のように語っている。
「2021年から2022年にかけて、デイル・コイン・レーシングに移籍しました。小さなチームながらもリソースを精一杯使い、チーム一丸となって最高の結果を求めていくと大きな期待を持ってシーズンに挑みました」
「インディ500では敵わなかったところもありましたが、思いきり攻めた結果、沢山のことを学べました。ものすごくフラストレーションが溜まるシーズンではありましたが、常に多くのサポートを受けて、一年を通して走ってきました」
「しかし、自分たちが思い描いていたようなリザルトを残すことができず、シーズンオフにかけてチームも色々な作業を賢明にしてくれましたが、2023年に向けてのフル参戦は非常に厳しいという状況が続きました」
「2023年に向けての参戦方向やレースへの関わり方を、自分なりにものすごく考えました。そしてその葛藤の中で見出した答えが、『勝ちにこだわる』ということでした。この13年間、インディカー・シリーズの選手権で優勝することはできませんでしたが、インディ500という非常に大きなレースで活躍することができて、その魅了にどっぷりと浸り、自分のやりたいことはインディ500で改めて勝つことなんだと答えを導き出しました」
「実際、様々なチームからオファーを頂きました。もちろん、諸々の条件がありすんなりと決まるモノではありません。しかしデイルとの話し合いを続けながら、非常に大きな好機ひとつが訪れ、このチームで走りたいと思いました」
なお、11号車をシェアすることとなるルーキーのアームストロングに対して市街地サーキットやロードコースでサポートを行なうなどといった細かい内容について佐藤は、チームでの仕事を開始してから決定していくとおり、2023年用のマシンカラーリングに関しても順次発表していくと明かしている。
また、マネージングディレクターのマイク・ハルも次のようにコメントを発表。佐藤琢磨の加入を歓迎した。
「2023年のオーバルレースで私たちの11号車を琢磨がドライブするというのは、なんと素晴らしい機会でしょうか。インディアナポリス500で2 度優勝した琢磨は、全員が平等に扱われる3人のチームメイトと力を合わせることで、レースで勝つためのノウハウをチームにもたらしてくれるでしょう」
「チップ・ガナッシ・レーシングは、第107回インディアナポリス500を楽しみにしています」