【MotoGP】ホンダMotoGP、苦境からの脱却にやる気MAX? スズキからの人材獲得、人員配置変更の狙いを聞く|独占インタビュー
ホンダは2019年にマルク・マルケスがタイトルを獲得して以来、トップ争いからは遠ざかっている。マルケス自身の怪我と欠場も影響しているが、ドゥカティを筆頭にヨーロッパ勢に日本勢が押されている状況だ。
2023年に向け、ホンダはライダーラインナップを一部変更。ファクトリーチームにはジョアン・ミルが、LCRホンダにはアレックス・リンスが加入する。そしてスタッフの人事でも変更があり、2022年限りで撤退したスズキでテクニカルマネージャーを務めていた河内健を迎え入れている。
エンジニア等も入れ替えが発生しており、ホンダの2023年に向けた決意が大きなことが伺える。そこで、プーチには人材配置などについてをまず聞いた。
「我々はホンダのマシンで多くの経験を持ち、そのバイクの歴史についても詳しいラモン・オーリンをテストチームに編成することから、チーム再編を開始した」
ホンダの人事について尋ねられたプーチは、そう答えた。
「ラモンはレース界での経験が長く、その経験はテストチームにとっての財産となるだろう」
「入れ替わりで、クラウス・ノーレスが新たにナカガミ(中上貴晶/LCRホンダ)のテクニカルマネージャーに就くことになる。彼は若いが経験も積んでいるし、レギュラーライダーと一緒に戦っていく準備はできている」
「そしてダニ・ペドロサのクルーチーフも務めていたジャコモ・グイドッティが、ミルのクルーチーフとしてレプソル・ホンダへ戻ってくる。マルクのチームは何も変更はない。そして、HRC(ホンダ・レーシング)はスズキが世界選手権から撤退したことを利用して、カワウチ・ケンと契約した」
スズキからライバルのホンダへの移籍となる河内。HRCは彼をテクニカルマネージャーを務めてきた横山健男の後任に据え、横山氏は今後日本でエンジニアのレベルアップに携わっていくという。
「ケンはヨコヤマの後任となる。ヨコヤマは日本にいる若手エンジニアの教育を担当することになり、技術的・人間的なレベルをヨーロッパに向けて準備できるようにしていくことになる」
「タケオはHRCにとって必要不可欠な人物であり、彼の新しい役職は、レースにおけるホンダの未来にとって重要なモノになってくるだろう。コクブさん(国分信一/HRC開発トップ)に変わりはない」
気になるのは新たにテクニカルマネージャーとなる河内の加入が、どんな影響をホンダにもたらすかだろうだろう。中長期的な影響について聞かれたプーチだったが、あくまで河内ひとりにバイクの問題を解決させることを期待してはならないと過度な期待は示さなかった。
「誰か人を雇う場合、デッドラインを設けてはならないんだ。様々な状況も重なり合っている」
「そもそも、日本でポテンシャルは高いが経験の足りていないスタッフを指揮する人間が必要だった。そしてそのために論理的にタケオが選ばれ、後任が必要だった。ケンはそのためのぴったりなピースだったんだ。しかし我々は、彼がバイクの全ての問題を解決することを期待してはいない」
なお日本メーカーとしては珍しい、ライバルの日本企業からのエンジニアの起用については、スズキの撤退が影響を与えた面もあるとプーチは示唆している。
「スズキがMotoGPからの撤退を決断したことが、ケンのホンダとの契約という決定に影響した可能性はあるだろう。我々としては、彼はレースに情熱を注いでいると思うし、スズキがレースを続けていれば、彼が移籍することもなかっただろう」