ジョージ・ラッセルは2023年、メルセデス在籍2年目を迎える。1年目はマシンのパフォーマンス不足によって厳しいシーズンとなったが、シーズン後半にかけては調子を上げて1勝を挙げた。

 チームメイトで7度のF1世界チャンピオンであるルイス・ハミルトンは、2022年にラッセルをメルセデスに昇格させるよりも、バルテリ・ボッタスをチームに残すことを望んでいたことが知られている。

 2022年シーズンはチームと協力して『W13』を改善する中で、ハミルトンとラッセルは協力関係を築いていた。そしてラッセルは、仮に2023年シーズンにチームがF1タイトルを狙えるだけのマシンを用意できた場合も、チームメイト間の関係が崩れることはないと考えている。

 メルセデスが常勝軍団復活を目指す中で、コンビ間の関係性が注目を集めるのも無理もない。4年間ペアを組んだハミルトンとニコ・ロズベルグは、チームメイト間でF1タイトルを争う中で、レースを追うごとに関係が破壊されていった過去がある。

 特に、最終的にロズベルグがタイトルを獲得した2016年は、スペインGPやオーストリアGPでふたりが接触するなど対立は激しく、チームは激しいタイトル争いを演じる両者の扱いに神経をすり減らしていた。

 2022年末、motorsport.comを含む一部メディアとのインタビューの中で、F1タイトルを目指す中でもハミルトンと健全な関係を続けられるかと尋ねられたラッセルは、次のように応えている。

「1位、2位を争っていれば、当然違った動きになるだろうし、それは当然のことだ」

「でも僕らに関して言えば、キャリアの中でかなり異なるステージにいるという事実があると思う」

「もし2023年シーズン、1-2フィニッシュを狙えるマシンを手に入れることができたら、チームの成功に貢献できたという大きな誇りを持つことができると思う」

「そして僕らは自分たちの仕事をするんだ。でも、対立する理由はないんだ。僕らはいい関係を築けているよ」

「僕らはお互いにリスペクトする必要があるけど、僕らはそれができていると思う」

「チーム全体として、その重要性は理解している。もし僕らの関係が崩れ始めたら、チームに影響を与え、最終的には巡り巡って僕らにも影響を与えることになるんだ」

「(この関係を)この先も続けていけると思うし、むしろ時間が経つにつれて、僕らの関係はより親密になっていくだろう」

 2022年シーズン序盤、ハミルトンはW13に発生したトラブルを解消するために様々なマシンセットアップを試していたこともあり、ラッセルの成績は比較的安定していた。

 ハミルトンがそうしたセットアップを試みていたのに対し、ラッセルは「最初からマシンの感触が良かった」ため、そうしなかったという。これについてメルセデスのトラックサイドエンジニアリングディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、ラッセルにはウイリアムズでの苦労が活きた結果だと語っていた。

「僕らは一回のレースに多くのテストパーツを持ち込んでいた」

 ラッセルはそう語る。

「メインの開発パーツが、いつも交互に使われていた。ある週ではルイス、次の週では僕といったようにね」

「もちろんシーズン序盤は、マシンの制限の中でルイスはより過激なセットアップ変更を行なっていた。でも、それは僕がより良い感触を得られていたからで、彼はまだ自分に合うセットアップを見つけようとしていたんだ」

「でも開発に関しては、レースごと交互に行なわれてきた。開発パーツがあると、レース週末は常に妨げられる。だからチームは公平にすべく、ある週はルイス、次の週は僕といった形でやってきたんだ」