「前はF1にいるのが怖かった……でも今はハッピー」マグヌッセン、F1離脱と復帰を経て新境地へ
ハースは2022年にミック・シューマッハーとニキータ・マゼピンの継続起用を発表していたが、テストを前にした段階でロシアのウクライナ侵攻が発生。その結果マゼピンは契約を解除され、その後任としてマグヌッセンに白羽の矢が立った。
復帰後、マグヌッセンはブランクが有るにもかかわらず開幕戦で5位入賞を記録。後半戦のサンパウロGPではハースにとっても自身にとっても初のポールポジションを獲得するなど、実績を残しつつ復帰一年目を過ごした。
チームを率いるギュンター・シュタイナー代表はmotorsport.comのインタビューに対し、マグヌッセンはF1に戻って来て以来「精神的に非常に強くなっている」と語っていた。
そしてマグヌッセンは、F1復帰後は自分自身に対する期待やプレッシャーが緩和されており、考え方に変化があったと語った。
「最大のプレッシャーは、自分自身への期待なんだ」
motorsport.comを含むいくつかのメディアの取材に応じたマグヌッセンは、そう語った。
「幼い頃から、僕の人生というのはF1が全てで、F1で頂点に立つことだと思っていた。F1チャンピオンになることは人生における究極の目標だと思っていたけど、今ではそれが全てではないことに気がついたんだ」
「そう考えるようになって、プレッシャーがいくらか消え去った。とてもポジティブなことだったよ。今、僕はF1をもっと楽しむことができている」
「古い考え方に囚われていた時、僕は常にここにいることが怖いと感じていた。自分自身が発するプレッシャーのせいだったんだ。このスポーツで成功しなければ幸せになれないんじゃないかと怖かったんだ。それはとても大きなプレッシャーになっていた」
「そして、皆からも色々なプレッシャーが届く。このスポーツはあらゆる意味でとてもタフな競争なんだ」
「だから僕にとってこの考え方の変化はとてもポジティブなことだったと思う。多くの人が『父親になるとコンマ1〜2秒遅くなる』と冗談を言うけど、実際はそうじゃなくて、逆なんだと思う」
マグヌッセンは「F1をより楽しめるようになった」と認めており、それは「スポーツへの愛が増していて、妨げるものが無いからだ」と語る。
「かつてのように、僕の両肩にあまりにも大きなプレッシャーが載っているわけじゃない」
「もちろん、自分に対する期待がまだ寄せられていることは分かっているし、大きな野望もある。でも、かつてとはぜんぜん違う、全部OKなんだ。僕は幸せだよ」