2023年シーズンからアストンマーチンF1には、2度のF1王者経験者であるフェルナンド・アロンソが加入する。昨年までのセバスチャン・ベッテルに続き、またもF1王者をチームメイトに迎えることになるランス・ストロールは、アロンソの“押しの強さ”がチームにとっても自分にとっても後押しになると考えている。

 アロンソは昨年までアルピーヌに在籍。2023年は昨年限りでF1を引退したベッテルの後任として、アストンマーチンへ加入する。

 2度F1王者に輝いているアロンソは一旦F1を離れたものの、2021年のF1復帰以降もその力を発揮し続けている。彼はそのキャリアを通じて、コース上で目標を達成するための苛烈な闘争と、冷酷さを持っていることも知られているが、同時にチーム内に政治的な争いを引き起こすこともあり、それは負の側面と捉えられることもある。

 そのアロンソを、アストンマーチンで”迎え撃つ”立場となるストロールは、そうした性質を持つアロンソと競い合うことで良い作用があると期待しているようだ。

「誰にもプッシュされないで、ただマシンを走らせているだけでは面白くないからね」

 アロンソ加入の影響について尋ねられたストロールは、そう語った。

「チームメイトに求めるのは、このゲームのトップに近いことだと僕は思う。つまり、その相手よりも良い結果を出せれば、それは自分がこのスポーツの上位にいることを意味しているし、その逆もまた然り、ということなんだ」

「それを最大限活用できていないなら、座ってリラックスしている場合じゃない。一生懸命努力しないといけないんだ」

「それが最終的にチームから期待されていることだとも思う。それにチームメイトがお互いにプッシュして、常にマシンとパッケージから最大限のモノを引き出しているかどうかを彼らに知ってもらうためにもね」

 なおストロールはこれまで、アロンソのことはよく知らなかったというが、一緒に仕事をすることを楽しみにしているという。

「少しは一緒に過ごしたことはあるけど、ドライバーズパレードで喋ったりしたくらいなんだ」と、ストロールは言う。

「彼はナイスガイで、素晴らしいドライバーで、すごい才能の持ち主だ」

「彼のような人、それかセブ(セバスチャン・ベッテル)のようなドライバーがチームにやってくると、様々な考えや違うドライビング方法、マシンに異なるモノを求めたりしていることもあって、いつでも興味深いし、エキサイティングなものだ」

「そういった経験を積んできたドライバーの話を聞くのは常に面白いものだ。そういう意味では、彼の加入と一緒にやっていくのを間違いなく楽しみにしているよ」

ベッテルとの思い出

 そしてストロールは、この2年間4度のF1王者経験者であるベッテルと共に戦ってきたことで、たくさんの学びがあったと振り返っている。

「素晴らしい時間だった」

「彼(ベッテル)は本当に経験豊富だし、才能に溢れていた。4度のF1チャンピオンとなったことが、それを全て物語っている」

「本当に楽しい時間だった。彼はマシンに乗ればライバルだったけど、週末へのアプローチの仕方や、仕事への適応方法、より良いレーシングドライバーになることなど、たくさんの事への理解を深めることに対して、僕の後押しになってくれたと思う」

「そういった点で、彼の取り組み方を見ているだけでも、僕にとってたくさんの学びになったのは間違いない」

「彼はチームの前進という点でも間違いなく助けになってくれた。過去のトップチームでの経験から、いろんな考えを持ち込んでくれたんだ」

「大きな価値があったと思う。それだけじゃなく、彼はクルマを降りていればクールな男で、最高にナイスガイだった。だからこそ、この2年間がより良いものになったんだと思う」