1月末にアメリカで行なわれたデイトナ24時間レース。LMDhマシンによる新時代の幕開けとなったこのレースではメイヤー・シャンク・レーシングのアキュラ60号車が勝利を挙げた。ドライバー達は、この好結果によって親会社のホンダがル・マン24時間レースへの態度を変えることを期待している。

 デイトナ24時間レースは、FIA世界耐久選手権(WEC)のハイパーカークラスにも参戦が可能なLMDh規定のマシンのデビュー戦でもあった。アキュラ、ポルシェ、BMW、キャデラックがLMDhマシンを投入して競い合ったが、最終的にはアキュラ『ARX-06』が新時代の初勝利を掴んでいる。

 LMDhマシンは前述のようにWECにも参戦が可能。しかしホンダとしては、北米ブランドのアキュラによるル・マン参戦に関心を示してこなかった。

 アキュラのル・マン参戦については昨年、ホンダ本社の広報担当者はmotorsport.comに対し、2024年のル・マンやWECへのエントリーは何も決まっていないと語っていた。

 デイトナで勝利したアキュラ60号車のトム・ブロンクビストは、ARX-06が示した競争力が、ホンダ上層部の意見を変えてくれることを期待していると語った。

「デイトナの勝利がホンダ、そして決定を下す人達に自信を与えてくれると思う」

 ブロンクビストはmotorsport.comにそう語った。

「彼らはWECやル・マンに行っても勝利争いができないと、ちょっとナーバスになっていたと思う。でも素晴らしいクルマを作ったのだから、自分のことを褒めてやるべきだし、ル・マンで勝てない理由もない」

 またデイトナ24時間で同じくアキュラを走らせ2位となったウェイン・テイラー・レーシングのフェリペ・アルバカーキも、ル・マンへの参戦を期待していると語っている。

「(デイトナでの勝利が)彼らに影響を与えてくれることを期待しているよ」と、アルバカーキは言う。

「ホンダがこうした競争力の高いマシンを持っているにもかかわらず参加しないというなら、それはル・マンで勝つチャンスをただ無駄にしているだけだ」

「既に(ARX-06の開発に)投資もしているんだ。クルマは良い出来だし、2台とも24時間をあまり問題なく走ることができたし、競争力もあった。チャンスがあるんだ。だからあとはそれを活かすかどうかの問題だ」

 なおデイトナ24時間レースの少し前には、マイケル・アンドレッティ率いるアンドレッティ・グローバルとウェイン・テイラー・レーシングが提携し、FIA世界耐久選手権(WEC)への参戦を目指す計画を明らかにしていた。

 アルバカーキは、アンドレッティとウェイン・テイラー・レーシングの提携により、ホンダの支援とル・マン参戦の可能性がどうなると思うかを聞かれ、次のように答えている。

「ウェイン・テイラー・レーシングのような1台のマシンを走らせる小規模なチームにとっては、より体制が整うことになると思う」

「アンドレッティはより大きなプログラムを実施するための助けになる。僕としてはホンダにとっても、良い機会を提供することになると思うんだ」

「でも結局のところ、それはホンダが考えることだ。僕が決められることじゃないよ!」

 そしてアキュラ/ホンダのル・マン参戦については、メイヤー・シャンク・レーシングの共同オーナー達も意欲を改めて示している。

「ホンダから出番が来たと言われれば、それが参戦の時だ」

 共同オーナーのマイケル・シャンクはそう語った。

「もちろん、我々はル・マンに出たいと思っている。私は以前(2016年)LMP2でやったことがあるが、ル・マンで総合優勝を争うというのは、我々としてもぜひやりたいことだ」

 そして、もうひとりの共同オーナーであるジム・マイヤーも次のように語っている。

「マイクと私が2018年に協力するようになったとき、私はインディ500で、デイトナ24時間で勝ちたいと語っていた。正直、それがこんなにも早く達成できるとは思ってもいなかった。一度勝ってしまうと、次の欲求は難しくなる」

「ル・マンが我々のリストの3番目にあったんだ。それが我々のやりたいことだよ」