スーパーGTの各メーカー・チームは3月の公式テスト開始、4月の開幕に先立ち、1月末頃からメーカー主催テストやタイヤテストを行ない準備を進めている。1月末には鈴鹿サーキットで、2月上旬には富士スピードウェイと岡山国際サーキットでメーカーテストが実施され、GT500クラスの参戦チームが顔を揃えた。

 そんな中で連日トップタイムをマークしたのがホンダ勢。富士では16号車ARTA MUGEN NSX-GTが、岡山では17号車Astemo NSX-GTが総合トップにつけた。まだテストの段階であり、メーカーやチームごとにプログラムが異なることを鑑みるとそこから勢力図を推し測るのは短絡的だが、ホンダ勢の速さがライバルにとって気になる点であることは確かだろう。

 ただ、昨年カルソニック IMPUL Zを駆りチャンピオンを獲得したTEAM IMPULのベルトラン・バゲットは、ホンダ勢のタイムをそれほど心配していない様子。春先になってコンディションが変わってくれば、タイム差も縮まるだろうと考えている。

 岡山でのメーカーテストの感想を問われたバゲットは、motorsport.comに対して次のように答えた。

「もちろん、カーナンバー1を付けて走れるのは最高だ。去年勝ったご褒美のひとつと言えるね」

「他のメーカーのこともあるから、テストについて何か言うのは難しいけど、僕たちは昨年うまく行かなかった部分の改善に取り組んでいる。今は寒いコンディションだし、暖かくなれば状況が一変するかもしれないから、今回の結果は慎重に分析しないといけない」

「例えばセットアップ面では、今はダウンフォースが大きいけど、暖かくなるにつれて(空気密度が小さくなり)ダウンフォースは減っていくので難しいところだ。今は順調だから心配はしていないけどね」

「ホンダはとても速そうだけど、彼らには非常に強力な空力パッケージがあって、こういう寒い時期は空力が何よりモノを言うということだ。暖かくなればギャップは縮まると思う。例年通り、3メーカーが接戦になるのは間違いないだろう」

「今回のように、午前のセッションが気温1℃や2℃でスタートするようなコンディションでレースをすることはないんだ。ホンダは空力の関係で、こういうコンディションで強いんだ。今のところは彼らが速そうだけど、開幕戦でコンマ4、5秒も速いなんてことはないと思っている」

 3月上旬には岡山国際サーキットで公式テストが行なわれ、4月にはその岡山で開幕戦が開催されるスーパーGT。バゲットは岡山戦の展望について聞かれると、昨年のレースでのパフォーマンスや今回のメーカーテストでの感触を踏まえると悪くないだろうとしつつ、「僕たちは岡山で最速だとは思わないけど、選手権の構造的には岡山で勝たない方が良かったりもするしね!」と話す。

 日本でレース活動をスタートさせてからなかなかタイトルに届かなかったバゲットだが、ついにGT500でのタイトルを手にし、ディフェンディングチャンピオンとして2023年シーズンに臨む。まだモチベーションは失われておらず、ハイレベルな選手権で戦うことに喜びを感じており、家族も自らの背中を押してくれているという。

「チャンピオンになれてホッとしているけど、僕は何度だって勝ちたい。モチベーションが続く限りやっていきたいと思う」

「ベルギーに帰っている間でさえ(スーパーGTが)恋しかったし、今年最初のテストで乗った時は幸せを感じた。このクルマがどれだけ素晴らしいものか思い知らされるんだ。タイヤマネジメントやトラフィックなど本当にいろんな要素があって、飽きることがない」