3月5日に行なわれるF1開幕戦バーレーンGPを前に、所属ドライバーのランス・ストロールが自転車事故で負傷するというアクシデントに見舞われたアストンマーチン。彼らはストロールの出場を第一に考えているが、万が一欠場となる場合はフェリペ・ドルゴビッチが代役出場するという。

 開幕戦のレースウィークまで1週間を切ったが、アストンマーチンはバーレーンに向けてストロールに“全てのチャンス”を与えるとしており、出場可否の決定はギリギリまでずれ込む可能性がある。例えばストロールをFP1に参加させ、パフォーマンスが思わしくない場合は交代……というシナリオもあるかもしれない。

 とはいえまずストロールにとって最初のステップとなるのはシルバーストンのファクトリーにあるシミュレータでの走行だろう。ここで彼の回復具合をチェックすることになるはずだ。

 アストンマーチンはこの件について、Twitterでこう表明している。

「チームはランスが怪我から回復するまで、レース出場の為のあらゆるチャンスを提供し続ける。もし出場できる状態ではない場合は、フェリペがフェルナンドと共にAMR23をドライブすることになるだろう」

 アストンマーチンは基本的にストロール出場を前提に準備を進めていくことになるが、昨年のF2王者であるリザーブドライバーのドルゴビッチも高く評価している。チーム代表のマイク・クラックは、代役としてプレシーズンテストに参加したドルゴビッチを次のように評していた。

「フェリペは良い仕事をした」

「彼にとってあらゆることが初めてであったことを忘れてはならない。彼は内省的で落ち着いた人間で、彼のアプローチもそこに基づいている。だから全てを簡単にやってのけた」

「彼はブラジル人なのに、なぜあんなに冷静なのか驚いているよ(笑)。彼は良くやっていたし、初日は着実に仕事をこなしながら我々の要求を完璧にこなしてくれた」

「また今日(テスト最終日)も、ホイールロックをしたりコーナーのエイペックスを逃すようなこともなかった。彼の仕事ぶりにはとても満足している」

 またベテランのアロンソも、ドルゴビッチの走行距離の少なさはネックになるだろうとしつつも、ルーキーの能力を肯定的に評価した。

「僕ですら周回数や走行距離が足りないと感じているのに、フェリペにとってはどれだけ大変なことをしているのか想像もつかない」

「でも彼は才能あるドライバーだ。ここバーレーンでもうまく適応していたし、すぐに良いペースで走ってロングランも良かった。だから彼がレースをすることになれば良い仕事をしてくれるだろう」

 なお、今回のアストンの決定はあくまで開幕戦に関するもの。もしストロールの怪我の回復が思わしくなく、第2戦サウジアラビアGPでも欠場を余儀無くされる場合は、ドルゴビッチではなく同じくリザーブドライバーのストフェル・バンドーンが代役に選ばれる可能性もある。

 もっと言えば、クラック代表はサウジアラビアでセバスチャン・ベッテルを走らせる可能性を完全には否定していない。ベッテルは昨年限りでF1から引退したが、彼の電撃的なF1復帰が100%閉ざされた訳ではなさそうだ。サウジアラビアでベッテル×アロンソというレジェンドコンビが実現すれば、同国石油企業のアラムコを主要スポンサーに持つアストンマーチンにとってはこれ以上ないPRとなる。