空力開発制限を”罰則”によって引き下げられたレッドブル。ライバルチームはその影響について懐疑的
レッドブルの規模を考えれば、700万ドルという罰金額はそれほどの痛手ではないだろう。しかし昨年のチャンピオンチームであるレッドブルは、ただでさえ空力開発を許可されている量が70%に制限される中、さらに10%削減されると、昨年ランキング7位のアストンマーチンと比較して63%しか空力開発作業ができないことになる。
普通に考えれば、これだけ開発が制限されれば、パフォーマンスに大きな影響が及ぶと想像できる。しかしライバルチームは、それほど大きな影響が及ぶことはないだろうと考えている。
長年レッドブルで働き、現在はアストンマーチンでテクニカルディレクターを務めるダン・ファロウズは、レッドブルがこれまで蓄積してきたモノが、ハンデの影響を最小限に抑えるのに役立つはずだと考えている。
「彼らは昨年のマシンで、非常に強力なポジションを築いた」
そうファロウズは語る。
「今年はレギュレーションの変更があったが、それほど大規模なモノではない」
「レッドブルは明らかに、今年に入っても非常に強力な立場にある。風洞実験の時間に関するその類の制限は、ある程度彼らに影響を及ぼすはずだ」
「しかし、彼らは深いところに大きな強みを持っている。今のルールでも、多くの経験を積んでいる。私としては、彼らがそのペナルティの影響を最小限に抑えるだろうと確信している」
メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフは、空力制限はレッドブルにとってはかなり厄介なモノとなるだろうが、それによってパフォーマンスに大きな影響を及ぼす可能性は低いと考えている。
「彼らは昨年、他の誰よりも0.5秒以上速いマシンを世に送り出したという点で、非常に良い仕事をしたと思う」
そうウルフ代表は言う。
「風洞実験の時間が少ないことは、確かに彼らにとっては良くないことだと思うし、それは今シーズンは我々にとってアドバンテージということになる」
「しかし効率的なマシンがあれば、その大部分を確実に補うことができる」
現在のレギュレーションでは、前述のとおり前年のコンストラクターズランキングに応じて空力開発の制限が加えられる。メルセデスは2021年まで8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得してきたチームであり、昨年は空力開発の大きな制限を受けたという経験を持っている。その経験からすれば、開発に制限が課されるのは厳しいことであるということを認識しているとも語る。
「我々はチャンピオンシップに勝っていたので、過去2シーズン、他のどのチームよりも風洞実験に費やすことができる時間が少なかった」
そうウルフ代表は明かす。
「だから確かに、彼らを少し苦しめることになるだろう。しかし繰り返すが、もし彼らが組織として効率的であるなら、それほど大きなことではないだろう。すでに彼らはそれを証明したがね」