フェラーリ、WECハイパーカーいよいよ登場もトヨタらの”壁”は高いと冷静「初年度で勝てるほど楽じゃない」
長い歴史の中でル・マン24時間レース9勝を誇るフェラーリのWEC最高峰クラス復帰ということで大きな期待がチームに向けられているものの、ドライバーのジェームス・カラドは、参戦初年度から勝利を重ねることは難しいと考えている。
1973年以来のル・マン参戦に向けて、フェラーリは開幕戦の舞台セブリング・インターナショナル・レースウェイを含む様々なサーキットで過酷なテストを実施してきた。
しかしカラドは、フェラーリの相対的な状況を把握することは難しく、参戦初年度から13台で争われるハイパーカークラスで大きな成功を収めることを期待するのは非現実的だと考えている。
アレッサンドロ・ピエール・グイディ、アントニオ・ジョビナッツィと51号車499Pをシェアすることとなるカラドは、次のように語る。
「全てが未知数だ」
「自分たちがどの位置にいるのか分からない。ただ開幕戦では自分たちがどの位置にいるのか、どのようなものなのかを確認することを期待している」
「僕らがいきなり勝てると言うのは難しい。どうなるか分からないからね」
「これはニューマシンなんだ。僕らは何周も走ってきたけど、レース環境ではまだ多くの弱点が残っている。チームとしての最大の目標は、できる限りスピーディーに学んで、常にマシンを改善していくことだと思う」
「もちろん、最終的な目標はレースやタイトル、ル・マンでの勝利だ。でもそれがいつ実現するかは分からない。大体、最初の年には期待できないよ」
「そうなれば良いけど、競争が激しいことは分かっている。誰もが知っていることだ」
「上手くいくことを期待して挑むけど、どうなるかは分からない。ただ学んで、自分たちの立ち位置を確認する必要がある」
2023年に導入3年目を迎えるハイパーカー規定。過去2シーズンでトヨタやグリッケンハウス、プジョーがレース経験を重ね、今年からハイパーカークラスで走ることとなるWECとIMSAの共通規格「LMDh」のマシンを投入するポルシェとキャデラックは1月に行なわれたIMSAデイトナ24時間レースですでに初陣を飾っている。
バイコレスが運営するヴァンウォールと並び、フェラーリもWEC開幕戦セブリング1000マイルに向けてレース経験ゼロで挑むこととなるが、経験不足は仕方のないことだとカラドは語る。
「もちろん、それは不利になる。経験値という点では、特にいくつかのメーカーが既に優位に立っている。それは分かっているんだ」
「でも、僕らにどうすることもできない。ニューマシンだからね」
「何年も最高峰クラスから遠ざかっていたし、新しく入ったばかり……予想することしかできないし、どうなるかは分からない」
「もちろん、チームは日夜を問わずひたすら頑張って、マシンの信頼性をレースができるだけのレベルにまで持っていこうとしている。でも実際にレースをしてみないと(自分の立ち位置は)分からない」
「何が起こるかは分からない。ただ、挑戦することや学びのプロセスを楽しみにしている。最終的には、それが将来的に良い結果をもたらしてくれるだろう」