アルファタウリの角田裕毅は新シーズンを前に、より良いリザルトがチームの信頼を勝ち取る最善策との考えを明かした。

 2021年にF1昇格を果たした角田。参戦3年目となる2023年にはチームに大きな変化が訪れ、2年間苦楽を共にしたピエール・ガスリーがチームを離れ、新たにニック・デ・フリーズが加入した。

 デ・フリーズは、FIA F2やフォーミュラEでタイトルを獲得するなど様々なカテゴリーで経験を積んできたドライバー。昨年まではメルセデスでF1リザーブドライバーを務め、イタリアGPでは代打としてウイリアムズから出走し、突然のF1デビューながらも9位入賞を果たした逸材だ。

 もう”ルーキー”とは言い訳ができない3年目の角田にとっては、同じマシンで対峙する最大のライバルが現れたこととなる。しかし、角田は2023年シーズンに対して気を引き締める一方で、かなりリラックスして臨めているようだ。

「みんな勝負の年って言うんですけど、僕にとっては毎年が勝負の年です。3年目だから勝負の年という訳でもありません」

 開幕前のインタビューで角田はそう語った。

「いつもと変わらずレースをするだけです。とはいえ、今年はもちろんこれまでの2年よりも絶対に結果を出さないといけない年ですし、よりコンスタントで全体的にまとまったドライバーにならなくてはいけません」

「そういった意味では、今まで以上に引き締まった気持ちで臨む必要があります」

「オフシーズンにトレーニングで2週間ドバイに行くなど、今年に向けてかなり準備してきたので自信はあります。今もすごくリラックスできていて、いつも通り変わらず過ごせています」

 そして角田は、コース上での結果がチームにおけるイニシアチブを左右すると明かした。

「今年は去年よりもっと責任を持って、マシンへのフィードバックなどを事細かく言っていく必要があります。さらにリーダーシップも発揮しなくてはいけないと思うので、そういった意味ではチャレンジングな年になります」と角田は言う。

「過去2年間、特にチームメイトのピエールからはそういったモノをかなり学びました。ただ、チームで一番F1の経験を持っているドライバーがすぐにリーダーシップを発揮するようになるという訳ではありません。去年やっていたルーティンを通して常にリラックスした状態で、リーダーシップといったことをあまり意識せず、マシンのフィードバックはもちろんのこと、徐々にリザルトでもリーダーシップを見せていきたいと思います」

「結局はリザルトが重要なんです。リザルトが良ければ、チームも自分の言っていることや行動を信頼してもらえると思います。そういったところを意識しながら、今年は行動しています」

 また、F1参戦3年目に向けてチーム代表のフランツ・トスト、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコから求められているモノを尋ねると、角田は次のように答えた。

「ふたりとも言っていることはほとんど同じです」

「要約すると『結果を出せ』ということです。それ以外はあまり覚えてないんです」

 そして角田はシーズン開幕に向けて、攻めの姿勢を失うことなく、ドライバーとしての完成度を高めたいと意気込んだ。

「今年は、2021年と2022年の過去2年以上に結果を出さなければいけない年になります」

「そのためにかなり準備してきましたし、僕としては良いコンディションにいると思います。開幕戦バーレーンから、今まで以上に完成されたドライバーとして皆さんに良い走りを見せたいと思います」

「ただ自分のスタイルは変えずに、アグレッシブさを持って戦いたいと思います」

「もちろん、今年も鈴鹿を楽しみにしています。いい状態で皆さんに会えるよう、それに向けて頑張りたいと思います」

 なおアルファタウリについては、ここ数日レッドブルによるチーム売却の噂が飛び交い、チーム側が公式声明を発表する始末となった。その中でトスト代表は、”根も葉もない噂”だとチーム売却の可能性を否定した。

 チーム売却の噂が広まったことによって、チームの雰囲気に影響はあるかと角田に聞くと、「今のところは、特にそういう変化は感じていません」と答えて次のように続けた。

「チーム側からフランツのはっきりとした声明を出しましたし、今のところ雰囲気は変わっていないなと思います」

「特にエンジニア陣、メカニック陣も今やるべきことがはっきりと決まっているので、問題ありません」