モータースポーツ活動60周年を迎えたブリヂストンは、2023年のモータースポーツ活動発表会を富士スピードウェイホテルの『Ballroom THE CIRCUIT』で実施した。

 このイベントでは、ブリヂストンと縁のあるTEAM IMPULの星野一義総監督、レーシングドライバーの佐藤琢磨、佐々木雅弘が登壇し、トークショーを行なった。

 TEAM IMPULはブリヂストンタイヤを履き、2022年のスーパーGTでGT500クラスタイトルを獲得。実に27年ぶりのタイトルに、星野総監督は感慨深げにチームづくりについて語った。

 ”人間づくり”が重要だと話した星野総監督は、ブリヂストンタイヤは「予選も良くてロングランもいい」と評価。サーキットにタイヤを持ち込む前のコンパウンドチェックにも、ある”秘密”があると、ブリヂストンの熱意を称えていた。

 2023年はオーバル限定の参戦ながら、トップチームであるチップ・ガナッシからインディカーに参戦する佐藤は2022年を振り返り、「僕自身にとっては2022年というのは振り返るのに値しないシーズンですが……」と話した。

「パッションの再確認ができたと思います。良かった瞬間はいくつかあったんですが、やっぱりその瞬間っていうのはレースをやってきて良かったと思うんですよね」

「残りの90%はほとんど後ろのほうだったので、悔しさもありましたし何が足りないのか、何が課題なんだってすごく考えたし、ただ続けるべきなのか、何が欲しいのかを考えた時に、やっぱり勝利に向かう気持ちと環境なんだなと思ったんですね」

「2023年はショートプログラムにはなるんですが、トップチームからの参戦になります。2022年はそれが可能になる繋がりがあった1年だったのかなと思います」

 TOYOTA GAZOO Racing GR86/BRZ Cupを戦う佐々木は、ブリヂストンのハイパフォーマンスタイヤであるポテンザの開発も担当。「モータースポーツで培った技術を徐々に市販タイヤに投入し、使った皆さんが笑顔になってくれるところを喜びに開発しています」と語ると、星野総監督もタイヤの開発者を帰さなかったほど、真剣にタイヤを開発していたというエピソードを披露。「ブリヂストンタイヤがあったからこそ。今後も一緒にレースを続けたい」と話した。

 砂漠で栽培できるグアユールを使用したサステナブルなタイヤに関するブリヂストンの取り組みについて佐藤が「最終的に100%再生可能なタイヤがきっと世界初で生まれるんじゃないかという期待も持ちつつ、一緒にレースをさせていただいていると誇りに思う」と佐藤が説明すると、星野総監督は「良いこと言うねえ」と相槌を打っていた。

 最後に2023年に向けた意気込みを聞かれると、佐々木はブリヂストンが60周年企画として実施する『ブリヂストン・eモータースポーツ・インスティテュート』や『ポテンザ・サーキット・チャレンジ』などを通してファンを増やしていきたいと語った。

「GR/86のチャンピオンを獲りたいと思いますし、参加型のモータースポーツやファンを増やすという活動をさせていただいているので、昔クルマやレースに憧れていたなっていう方が走りやすい環境をどんどん作っていきたいと思います」

 佐藤は「目標はシンプルにインディ500の3勝目」と力強く宣言。F3時代やF1時代にブリヂストンと共に戦ったことを誇りに「これからモータースポーツを目指す子供やファンの皆さんに、モータースポーツの魅力を再確認してもらえるような大きなニュースを流せるように、インディ500で頑張ってきたい」と意気込んだ。

 星野総監督は、オフシーズンのテストで8号車ARTA 無限 NSXが勝てないと思うくらい速いと警戒しつつ、「暖かくなってくると色々変化がある。シーズンによってどこが強いとかはあるけど、タイヤ選びとピットインアウトをミスのないようにやって絶対に連覇する」と宣言し、さらに次のように続けた。

「それが僕の使命だから絶対にとってみせる。タイヤは心配してない。信頼しているからね」