メルセデスAMG F1チームは2023年シーズン開幕戦バーレーンGPで、レッドブル・レーシングとスクーデリア・フェラーリだけでなくアストンマーチン・レーシングにもコース上のパフォーマンスで先行されるという散々な結果に終わったが、ライバルチームはメルセデスが不調から早くに抜け出すだろうと予想している。

 新テクニカルレギュレーションの到来と共に常勝軍団から転がり落ちたメルセデス。2022年シーズンの苦戦に続いて、新車『W14』を投入しての2023年シーズンも厳しい幕開けとなった。

 これを受けてメルセデスは、トップ集団に戻るためには別の方向性が必要だと考え、現在のマシンコンセプトを捨てることさえも検討している。

 仮に予算制限レギュレーションが施行されている下で別のマシンコンセプトへ移行するとなれば、メルセデスといえど2024年に向けて今シーズンの一部を犠牲にすることを強いられる。

 しかしライバル勢は、かつてコンストラクターズタイトルを8連覇したメルセデスが長期的な暗黒期を迎えることはなく、再び脅威の存在になると考えている。そして開幕戦でのパフォーマンスだけで、今年もメルセデスが優勝争いから遠ざかると結論づけるのは時期尚早だと語った。

 フェラーリのフレデリック・バスール代表は次のように語っている。

「開幕戦だし、結論を出す必要はない」

「メルセデスはすぐに目を覚ますと思う。来週どうなるかは分からない」

「次のレースは路面の違うジェッダだから、また違った話になるだろう。ジェッダで我々が良い展開を掴めるか見てみよう」

 メルセデスが現在のポジションから脱却できるはずだと考えるのはバスールだけではない。レッドブルでモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコも、メルセデスがシーズンを通して改善していくはずだと主張する。

 レッドブルの主なライバルはフェラーリかアストンマーチンかと尋ねられたマルコは、次のように答えている。

「開幕戦が終わった時点でそれを言うのは難しい」

「まだ多くのライバルが残っている。また、メルセデスはシーズンを通して良くなっていくと考えている」

 レッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は、メルセデスがポテンシャルのあるマシンコンセプトに切り替えた場合、大きなパフォーマンスを発揮するようになる可能性があると考えている。

「私はこれまでにも、物事が急速に変化していくのを目の当たりにしてきた」とホーナーは言う。

「これらのマシンはまだ未熟で、チームが発展し、アップデートが進めば、状況も変わってくるだろう」

 なおメルセデスがマシンコンセプトを変更するという話の中で、ホーナーはレッドブルが開拓し、アストンマーチンなどが追従した”ダウンウォッシュ型”のサイドポンツーンに、他のチームのマシンデザインも収束していくだろうと考えている。

「今のマシンを機能させるウインドウは非常に狭いと思うし、トップ3はどのチームも独自のテーマで臨んできているように見える」とホーナーは言う。

「ひとつのチームが我々のテーマを採用し、それが功を奏した。ある時点でここに収束すると思うし、シーズン途中に変化が起こる可能性もある」