F1王者バトン、NASCARオーバル戦出場にもノリノリ「スポット参戦でこのシリーズを気に入れば」とフル参戦の可能性示唆
2009年のF1世界チャンピオンであるバトンは、3月末にオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で開催されるNASCARカップシリーズに、スチュワート・ハースレーシングのサポートを受けてリック・ウェア・レーシングから初参戦。7月のシカゴストリートコースと8月のインディアナポリス・ロードコースを含め3レースにスポット参戦を行ない、フォード『マスタング』のNext Genカーを駆ることとなった。
バトンのNASCARスポット参戦は、今年のル・マン24時間レースに”ガレージ56”枠から参戦するNASCARプロジェクトへの参画に続くニュース。サルト・サーキットでは、改良型のNext Genカーをジミー・ジョンソンとマイク・ロッケンフェラーと共に走らせることとなっている。
カリフォルニア在住のバトンはF1引退後、日本のスーパーGTやバハ1000など様々なカテゴリーのレースに出場してきたが、次の挑戦の舞台はNASCARとなる。
そしてCOTAからの3戦次第では、オーバル戦への出場も可能性が無いわけでは語っている。
「オーバルが良い案ではないというのはみんな分かっていたと思う」
バトンはFOXのRace Hubでそう語った。
「僕はオーバルをやってみたいけど、全く異なるスキルが必要になる。将来的に可能なことかもしれないし、このマシンとシリーズが気に入れば、可能性もあるのかもしれない」
そしてmotorsport.comが、スチュワート・ハースやスポット参戦でスポンサーを務めるMobilと関わることで、将来的にデイトナ500へ出場するという夢が現実的になったのではないか、と尋ねるとバトンは次のように答えた。
「僕にとっては、ただレーシングカーを走らせるというだけじゃないんだ。もちろんレーシングカーなんだけど、僕が慣れ親しんできたモノとは全く違う。時間が経てば慣れてくるだろうけど、レースはより厳しいモノになる」
「周囲にマシンがひしめいて、スポッターが誰がどこにいるのかを教えてくれる。だけど多くの場合、(列の)真ん中で行き場を失って何もできないことが多い。異なるタイプのレースだから、時間がかかるんだ」
「オーバルに出て走ることはできるけど、時間がかかるのはもちろんだ。でも、デイトナのような平坦なコースならすぐに理解できるようになる」
「ただ他のマシンが絡むと、ドラフティング(先行車から一列に並び後続集団がスリップストリームを得る走法)やプッシュ(バンパー・トゥ・バンパーの後続車がマシン後方に発生する低気圧を軽減することで先行車がスピードアップすること)など、学ぶべきことが沢山ある」
「デイトナでカップカーにいきなり乗るみたいに、カップシリーズでそれ(オーバル)をやるのは最善策とは言えない。まずは下位カテゴリーで乗って、少し経験を積んだ方が良いだろう」
そしてバトンは、レース後の展開についてはオープンな姿勢だ。
「今後のことは全てパフォーマンス次第だとは思わない?」とバトンは言う。
「僕がドライブすることになった理由は、これまで僕がやってきたこととMobil 1との関係性だ。でももし上手くいかなかったら、2024年にフルシーズンのシートを得られるかどうかの展望は無意味なモノになる」
「でも、もし僕がチャンピオンシップやマシンを気に入り、楽しくて競争力があると思えば、その可能性は常にある」
「そして僕らが選んだサーキットは、完璧なトリオとして機能する。COTAは知っているし、シカゴは誰も走ったことがない。市街地コースを走れるなんてクレイジーだし、条件はみんな同じだ。そしてインディは、僕が慣れているコースとは違うけど同じコーナーがいくつかある」
なお、バトンがNASCARデビューを果たすCOTA戦では、同じくF1世界チャンピオンであるキミ・ライコネンもカップシリーズにスポット参戦。ライコネンはトラックハウス・レーシングの”プロジェクト91”からシボレー『カマロZL1』Next Genカーを走らせる。ライコネンとしては昨年のワトキンスグレン戦に続いて2回目のカップシリーズ挑戦となる。