F1の2023年シーズンがバーレーンで開幕したが、レースはレッドブルの圧勝。今シーズンもタイトル獲得間違いなしといった予想の声も聞かれているが、チーム側は今のアドバンテージがシーズン中に無くなる可能性があると考えている。

 レッドブルは今季、空力開発が厳しく制限されている。そもそも昨年のチャンピオンチームであるレッドブルは、ただでさえ空力開発がランキング7位だったチームの70%に制限されているが、2021年の予算上限を超えたペナルティとして、さらに10%空力開発が削減されているのだ。

 これまでのところ、この空力開発の制限の影響は限定的なモノだと考えられている。ただ、今後ライバルの開発が進むに連れて、問題になってくる可能性もある。

 空力開発の制限については、レッドブル側も今後影響が出て来る可能性を認識しているようだ。motorsport.comの姉妹媒体であるFormel1.deのインタビューで、レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは次のように語った。

「今シーズンに向けて、我々は最適な準備を行なってきた」

「空力開発のペナルティが科されることを把握してから、風洞試験を行なう時に効率的かつ明確なプランをもって行なわなければならないということは、明らかだった」

「現時点では、我々はそれをしっかりとできている。しかし当然だがシーズンが進むに連れて、我々の開発時間が無くなってくる一方で、ライバル達はまだそれを使えるとなれば、我々のリードも溶けて無くなっていくことだろう」

「だからこそ、今ポイントを獲得しておくことが非常に重要なんだ」

 またマルコはレッドブルが開幕戦を支配していたとしても、今後の全てのコースで勝てるとは考えていないようだ。

 メルセデスのジョージ・ラッセルが開幕戦後に「レッドブルの全戦全勝」の可能性を口にした件について聞かれたマルコは、こう答えた。

「いや、ラッセルのその発言は、バーレーンGPでのフラストレーションから来るものだろう」

「開幕戦は特殊なサーキットでのレースだ。路面は非常に荒く、タイヤの消耗が非常に大きな要素となってくる」

「我々は確かに良いパフォーマンスを見せた。しかし全てのレースで勝利し、世界チャンピオンになるというのは言いすぎだ。それが簡単だったら、素晴らしいだろうがね」

 さらにマルコは、バーレーンGPのフリー走行でチームがRB19の良いバランスを見つけるのに苦労していた理由について、チームはまだ多少混乱しているのだとも語る。

 ただ、問題がプランクの路面との擦れを解決するために車高を上げなければならなかったのではないかという指摘は否定している。

「いや、その筋書きは真実ではない」と、マルコは言う。

「我々はテスト中は非常にバランスの取れたマシンを手にしていた。しかし(開幕戦の)初日、突然にして非常に強いアンダーステアに見舞われてしまった。マックス(フェルスタッペン)にとって好ましくないものだ」

「しかし他チームも同様だった。だから砂や温度など、別の要因から来るものだろう。そしてマックスがポールポジションを獲得し、勝利できるセットアップへ戻すために、我々が相当努力したということは言っておくべきだろう」