メルセデスAMG F1チームは、若手ドライバーの育成を行なう「ドライバー開発ディレクター」としてジェローム・ダンブロジオを起用した。

 2011年にマルシャ・ヴァージンからF1に参戦し、翌2012年のイタリアGPではロータスから一度だけ出走したダンブロジオ。F1の後は戦いの場をフォーミュラEへ移し、2015年ベルリンePrix、2016年メキシコePrix、2019年マラケシュePrixで勝利を挙げた。

 2019-20年シーズン終了後に現役を退くと、翌シーズンからベンチュリ・レーシングでチームマネジメント業に専念。2021年11月に代表へ昇格し、2021-22年シーズンにはチームをランキング2位まで押し上げた。

 ただチームがマセラティへと姿を変えた2022-23年シーズンに先駆けて、昨年9月にダンブロジオは代表を退任。今年は、メルセデスF1で代表を務めるトト・ウルフと共にチームのピットに何度も姿を見せていた。

 これまでメルセデスは、ダンブロジオをチームと親交のある人物に過ぎないと説明してきたが、ダンブロジオはただF1を楽しんでいるのではなく、両者の関係がより強固なモノになる可能性があるとも明かしていた。

 開幕前にバーレーンで行なわれたプレシーズンテストで、ウルフは次のように語っていた。

「彼はフォーミュラEで、ベンチュリのチーム代表を務め、ランキングで2位を獲得している」

「そして彼は友人としてここにいて、視察している。将来的には何かあるかもしれないが、今はまだない」

 ただ、サウジアラビアGPのパドックでは、ダンブロジオがメルセデスのチームキットを着ているところが目撃された。そしてメルセデス側も正式にダンブロジオがドライバー開発ディレクターの役割を担うことになったとを認めた。

 昨年まではチームで戦略担当責任者を務めていたジェームス・ボウルズがこの役割を担ってきたが、ボウルズは2023年シーズンからウイリアムズのチーム代表に就任。メルセデスのこの役職に空席ができていた。

 ダンブロジオは今後、世界中様々なカテゴリーで活躍するメルセデスの若手ドライバーの面倒を見ることとなる。

 F1昇格はもちろん、メルセデスが育てたいと考えるレーシングドライバーのキャリアと彼らの成長をマネジメントすることとなる。