”ウォーマーなし”のタイヤ導入へ、バーレーンGP後のテストにピレリ自信。ドライバーはまだまだ懐疑的な視線
F1は2024年から、タイヤウォーマーの使用を禁止することを目指している。しかしそれを実現するためには、よりウォームアップしやすいタイヤを導入することが求められている。
ピレリはそのタイヤの実現に向けて準備を進めており、今年の2月にはフランスのポール・リカール・サーキットでメルセデスがテストを担当した。ただその際にドライブしたルイス・ハミルトンは、「危険」だと発言。当時は非常に寒かったこともあり、タイヤを温めるという面では明らかに不利なコンディションでもあった。
それを受けたバーレーンでのテストは、非常にうまくいったようだ。ただピレリとしては、バーレーンでタイヤを適切に機能させることができなかったとしたら、解決策を見つけるのに非常に厳しい闘いを強いられることになっただろうと語る。
「バーレーンで、タイヤウォーマーがないのは不可能だということが分かったり、ウォームアップに長い時間がかかったり、大きな問題が発生していたのなら、我々の挑戦はよりはるかに大きな課題になったと想像できる」
ピレリのF1担当責任者であるマリオ・イゾラはそう語った。
「今回の結果は励みになる。バーレーンは、ウォームアップの性能を試すのに最適なコースではないがね。ウォームアップできるかどうかは、ウォーマーの問題だけではないことはわかっているんだ」
このテストで新型のタイヤを試したドライバーたちは、様々な意見を持っている。フェラーリのシャルル・ルクレールは、ウォームアップしやすいコースであることを認めつつ、次のように語った。
「それについては、少し慎重になるべきだろうね」
そうルクレールはmotorsport.comに対して語った。
「うまくいったとは思う。正直なところ、ポジティブなテストだった。でも、バーレーンは非常に特殊なコースなので、ウォームアップが大きな懸念事項というわけではない」
「全てが本当にうまくいったけど、この種のテストには適したコンディションではあったからね。慎重になっておこう」
アルファロメオのバルテリ・ボッタスは、バーレーンでのテストではタイヤが十分に機能したものの、タイヤウォーマーを禁止することについては疑問を呈した。
「やるべきことはまだある」
そうボッタスは語った。
「ピレリもそれを分かっているし、F1もそれを分かっていると思う」
「F1マシンにとってはまったく新しいコンセプトであり、マシンにかかる負荷を考えると、低温から高温まで機能するタイヤを作るのは簡単ではない」
「タイヤウォーマーがなくなってしまえば、ウォームアップは少し問題になるはずだ。でもバーレーンは、タイヤをウォームアップするのは最も簡単なコースのひとつなので、実際には扱いやすかった」
「でも、低温から走り始めて、100度になった時には内圧がかなり上がっている。そうなれば、タイヤの性能が大幅に悪化するのは明らかだろう」
「僕の個人的な意見では、タイヤウォーマーを禁止するのは、進むべき方向性だとは感じていない。でも、彼らは本当に懸命に取り組んでおり、将来何が起きるかは分からない。それは僕たちが決めることではない」
テスト結果には満足しつつも、今年の7月に決断を下すまでには、まだまだ長い道のりが残っているとイゾラは認める。
「どうなるか、それを予測するのは少しまだ早い」
そうイゾラは言う。
「バーレーンでは、様々な解決策をテストした」
「最初の目標は、構造を定義することだ。その後で、コンパウンドに集中することになる」
「全体として、我々は進歩に満足している。しかし、今良い立場にいるかどうか、お伝えするのはまだ早いんだ」
「我々は待たなければいけない。ここからシルバーストンまでの間に、何が起きるのかもう少し理解を深めることができる。そのため、シルバーストン(イギリスGP)の後に決断を下すことにしている」