逆襲のメルセデスF1、マシンコンセプト変更に向けたアプローチを説明。シーズン前半は「学びの時間」に
メルセデスは『W14』を投入した2023年シーズン開幕2戦で、昨シーズンの低迷から抜け出すことができていない。バーレーンGPの後、チーム代表を務めるトト・ウルフは、マシンコンセプトは方向転換のタイミングを迎えたと語り、既存のアイデアにこだわると言う点では”聖域”はないと明かしていた。
ウルフは、昨年マシン『W13』から現行マシンに引き継いだ”トレードマーク”とも言える「ゼロポッド」を超えるモノであると明言しており、メルセデスがまだ見ぬマシンにどのようなコンセプトを採用するのか、という点が話題となっている。
エリオットはメルセデスの公開したQ&A動画の中で、コンセプトの定義は緩いモノだと語っている。
「簡潔に答えると、それは人によって意味合いが異なってくる」とエリオットは言う。
「バーレーンの後、我々は自分たちが望むところではなかったということを受け入れる必要があったと思う。マシンを構成する全てのモノに目を向け、何が違うのか、どうすれば高いパフォーマンスが得られるのかを考える必要があった。上位との差は圧倒的だったからね」
「エンジニアたちは空力を調べ、我々がトリックを見逃しているのかとサイドポッドやフロアといったマシンの形状に目を向けた」
「シミュレーションでも、我々が正しい目標を設定できているのか、空力を正しい方向に導けているのか、ということを調べている」
「我々に欠けているモノはないか、マシンにどんなパフォーマンスを投入できるのか、マシンのメカニカルなセットアップにも目を向けている。我々はそれをできる限り迅速に行ない、上位に戻りたいと思っている」
「上位で争うためには、自分たちが望んでいるポジションにいないことを受け入れ、戻るため懸命に戦い、努力するしか方法はない」
また、エリオットは開幕戦でのW14のパフォーマンス不足がチームの”目を覚まさせた”と考え、その結果がチームに活力を与え、解決策を模倣させたと語っている。
「真価を計るバーレーンでは現実を突きつけられ、自分たちが競争力のないポジションにいるということに気づかされた」とエリオットは言う。
「本当に失望した。チーム全体にとっても残念なことだ」
「でもそれを乗り越える必要があるし、どうするかということに考えを変えていく必要がある」
「それを行なうエネルギーをどう引き出すか、我々にできることは何か、どうやって自分たちを前進させるのか、どうすれば再び上位争いに戻れるのか」
「実際にファクトリー内を歩いていると、非常に活気に溢れていて、多くの作業が行なわれている。タイトル争いに再び挑むための開発の片鱗が見えてきている」
「我々にできることは、ただプッシュを続けることだ。チームの姿勢を見ていると、本当に嬉しくなってくる」
そして第3戦オーストラリアGPへの期待を訊かれたエリオットは次のように答えた。
「まず、今の我々の目的は学び続けることだ。今のところ、まだ2レースしかしていない。そこから傾向を掴むのは本当に難しい」
「実際のコース特性としては、オーストラリアはおそらくフロントリミテッドで、バーレーンよりもサウジアラビアに近いと思う。また小さな一歩を踏み出し、もう少し競争力を高め、長期的に前進するための学びを見つけられることを期待したい」