富士スピードウェイで行なわれたスーパーGT富士テストの初日。午前のセッションでは、HOPPY team TSUCHIYAの25号車HOPPY Schatz GR Supra GTが激しくクラッシュ。赤旗の原因となった。

 事故が起きたのは午前のセッションがスタートして30分が経過する頃だった。コース上の雨量が多く、様子を伺うチームも多かったが、25号車HOPPYはこのタイミングで菅波冬悟が乗り込みコースイン。計測1周目に突入した時、1コーナー立ち上がり先にある川に乗ってしまい、コントロールを失ってウォールにヒットした。

 幸いインパクト自体は大きくなく、ドライバーの菅波も無事だったが、25号車のスープラはマシンの左側に広範囲にダメージを受けてしまった。前後の足回りに加え、カウルも幅広く破損していた。

 HOPPY team TSUCHIYAは昨年から自社製スープラで戦っているが、同年夏に鈴鹿サーキットで実施したテストの際に130Rでクラッシュ。1レースを欠場し、様々なパーツをかき集めて修復した過去がある。そんな中で今回2度目のクラッシュ……チームはさぞ意気消沈しているのではと思いつつ、開発を率いる木野竜之介エンジニアのもとを訪ねたが、彼から飛び出した言葉はポジティブなものが多かった。

 大きく損傷したマシンを前にして、3週間後に控える開幕戦への出場の目処を聞くと、木野エンジニアはこう語った。

「直ると思います。昨年の鈴鹿と比べたら全然です」

 もちろん広範囲にダメージが及んでいるため、修理・新造が必要なパーツの点数は多い。またエンジンへのダメージも今後詳細なチェックが必要であり、決して楽観はできない状況ではあるが、昨年の鈴鹿での事故とは決定的に違う要素があるという。

 というのも、今季のHOPPYスープラは新品パーツの割合が上がり、スペアパーツも比較的用意できているというのだ。これは中古パーツを多く流用していた昨年とは大きく違う点だ。

 新品パーツの増加について、「(監督の土屋)武士さんが頑張りました(笑)」と笑う木野エンジニア。これにより、モノづくりにおいて非常に重要な“再現性”を高めることができたと語る。

「鈴鹿の一件では、一度クラッシュしたら同じものに戻せない、つまり再現性が取れないということに苦しみました。これはモノづくりとしては一番良くない状況ですが、中古部品を使うとどうしてもそういったことが起きてしまいます」

「ただ、今はそれが元に戻せるようになった。だから鈴鹿の時みたいに以前とは全然違ったマシンになってしまう……そういったことがないという安心感があります」

「鈴鹿の時は3歩進んで2.8歩戻っちゃった感がありましたが、今回は後戻りせずに戻せるんじゃないかと思います」

 すごろくで例えるならば、昨年は事故により何マスか戻る羽目になっていたHOPPY team TSUCHIYA。しかし今回の事故はあくまで“一回休み”。テスト2日目には出られなくとも、現在の立ち位置から決して後退することなく、歩を進めていくことができそうだ。