3月25日、MotoGP2023年シーズンの開幕戦ポルトガルGPのスプリントレースが行なわれた。勝利したのは、ドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤだった。

 日曜日に行なわれる決勝レースの半分の距離で争われるスプリントレース。2023年からMotoGPクラスの全戦で導入が決まり、今回が初実施となる。

 スターティンググリッドは2日目午前中に行なわれる従来のノックアウト予選で決定。このグリッドは日曜日の決勝レースでも共通となっている。

 ポールポジションを獲得したのはレプソル・ホンダのマルク・マルケス。2番手にはディフェンディングチャンピオンのフランチェスコ・バニャイヤ(ドゥカティ)、3番手にはホルヘ・マルティン(プラマック)が続いた。中上貴晶(LCRホンダ)は18番手スタートだ。

 サーキットは晴天で、気温は23度、路面温度39度のコンディションでスプリントレース開始となった。

■短さ故の全力バトル

 スプリントレースがスタートすると、激しい鍔迫り合いでポジションを争いあうライダー達だったが、マルケスはしっかりと後続を抑えて先頭をキープした。

 しかしホームストレートに帰ってくると、ドゥカティのマシンパワーを活かしてバニャイヤとマルティンがマルケスをオーバーテイク。この3人の後ろにジャック・ミラー(KTM)、ミゲル・オリベイラ(RNF)が続いた。

 先頭争いはマルティンが3周目にバニャイヤをホームストレートで追い抜いてトップに浮上。一方3番手争いでは4周目のターン1に向けてマルケスがミラー、オリベイラに続けざまに追い抜きを許してしまった。

 マルケスを追い抜いた後、ミラーは勢いのままバニャイヤも攻略。5周目に2番手までポジションを上げてきた。

 ミラーの勢いは衰え知らずで、次の周にはさらにマルティンもオーバーテイクし首位に浮上。ただホームストレートでの直線スピードのアドバンテージから、先頭を守り切ることができなかった。ミラーはここで息切れか、バニャイヤにも追い抜かれてしまいさらにポジションを下げた。

 ミラーに対してはオリベイラもポジションを伺っていくが、ターン1に向けてのブレーキングで2台揃ってワイドに膨らんでしまうと、そこをすかさずマルケスがオーバーテイク……漁夫の利を得た。

 トップ争いではバニャイヤがラストラップを前にマルティンを捕まえて、テールトゥノーズ状態に。ターン5で並びかけるとそのまま追い抜いてトップが入れ替わった。

 バニャイヤは追いすがるマルティンを突き放してトップチェッカー。スプリントレースの初勝利ライダーとして名を刻んだ。2位はマルティンだ。

 3位争いはマルケスvsオリベイラという形となったが、オリベイラがラストラップのターン1でブレーキングミスを犯したことで後退。マルケスが3位を獲得した。

 日本人ライダーの中上貴晶は15位でフィニッシュ。スプリントレースは9位までがポイント獲得となるため、今回はノーポイントだ。

 なおレース序盤にはジョアン・ミル(レプソル・ホンダ)が転倒。その際ファビオ・クアルタラロ(ヤマハ)と接触があり、彼はポジションを下げざるを得なかった。クアルタラロは最終的に10位と、惜しくもポイントには手が届かなかった。

 また今シーズンからドゥカティファクトリーへ昇格したエネア・バスティアニーニも、ルカ・マリーニ(VR46)の転倒に巻き込まれる形でクラッシュしてメディカルセンターへ搬送。ドゥカティでの初レースは厳しい結果となってしまった。