F1の決勝レースフィニッシュ時に、クルーがピットウォールのフェンスに登ったり間から身を乗り出してレースを終えたドライバーを祝福するのはお馴染みの光景となっていたが、第3戦オーストラリアGPからそれが少し変わってしまうかもしれない。

 前回のサウジアラビアGPでも、表彰台を獲得したレッドブルとアストンマーチンのチームスタッフはピットウォールのデブリフェンスの上や隙間から身を乗り出していた。

 しかしオーストラリアGPを前にF1レースディレクターであるニールス・ウィティヒが公開したイベント・セーフティノートの中で、取り締まりが強化されることが明らかとなった。

 そもそもFIAの国際競技規則付則H項、2.3.2条には『ピットウォールデブリフェンスへ人がよじ登ることは、いかなる場合においても禁止されている。この禁止事項に違反したチームの行為は、スチュワードに報告される』と定められている。

 つまり、この取り締まりは新規則の導入などによるものではなく、より厳格にレギュレーションを解釈するというものに過ぎない。もしチームメンバーがレギュレーションに違反しているのが発見された場合、当該チームはスチュワードに報告され、処罰が必要かどうかを検討するよう求められることになる。

 違反した場合、罰金などのペナルティが予想されるが、予算制限がある中での罰金はチームにとって以前よりも痛手となるだろう。

 この新しい展開に関連して注目すべき点は、オーストラリアGPではサウジアラビアGPで目撃されたような危険な状況にチーム関係者が陥ることは実際にはありえないということだ。

 アルバートパークのメインストレートには、格子状の金属フェンスではなく、厚い透明パネルが設置されている。金属製フェンスのように足場にすることができないのだ。

 これまでとは取り締まりが変化するとはいえ、伝統が全くなくなってしまうわけではなさそうだ。安全が保たれる限りはピットボードを出すために設けられている隙間から身を乗り出すことは認められると理解されている。

 FIAは、事実上取り締まりが行なわれていなかったH項2.3.2条をチームに思い出させ、コース上に物を落として通過するドライバーを危険に晒すことがないよう、行動を起こしたようだ。