メルセデスのトト・ウルフ代表は、ルイス・ハミルトンの後任として獲得が噂されているシャルル・ルクレール(フェラーリ)について、長期的な選択肢のひとつだと認めつつ、すぐに動きを見せる可能性を否定している。

 F1は第3戦オーストラリアGPの後1ヵ月ほどの春休みに入っていたが、その間メルセデスはハミルトンがチームを離脱した場合の後任として、ルクレールの獲得を考え、交渉を進めているのではないかという憶測が流れていた。

 ルクレール自身は、メルセデスやウルフ代表との接触を否定したものの、そのコメントには”まだ”という言葉が付け加えられていた。

 ウルフ自身も、チームとルクレールとの間に対話が始まったという見方を否定。しかし長期的な選択肢として、ルクレールというドライバーを無視するのはチームとして愚かなことだとも語った。

「シャルルはスーパーガイであり、長期的な将来を考えると、常にアンテナを張っておく必要がある人物だ。それはハッキリしている。しかし短期的、中期的なものではない」

 ウルフは、最近ルクレールと個人的に話をしたのは、オーストラリアGPの帰りにメルボルン空港でばったり会ったときだけだと説明した。

「誰もシャルルの能力を疑っていないと思う。彼はいいやつだ」と、ウルフは付け加えた。

「彼と話したのは、飛行機に乗るときにメルボルンのゲートがどこにあるか話し合ったときが最後だ。それ以外の接触はない」

「彼はフェラーリに100%コミットし、忠誠を誓って契約していると思う。そして同じように、我々もルイスと契約を交わすことに100%コミットしている」

 ルクレールのフェラーリでの現在の契約は2024年シーズン終了までで、ハミルトンは今年末で現行契約が満了となる。

 メルセデスとハミルトンはここ数週間、今季マシン『W14』の問題を解決することに重点を置いており、まだ契約延長について話し合いは行なわれていない。

 現状、メルセデスはハミルトンが望むタイトル獲得には程遠い状況だとはいえ、ウルフは彼を引き留めるには十分なチームだと考えている。

「彼は自分自身が強いドライバーだと強く感じているし、我々もそうだ」

「今年はドライバーズチャンピオンシップを争うことはないだろう。今のところ、そういうことになる。そして我々は、チャンピオンシップを争えるだけのクルマを彼に与える必要がある」

「我々は今シーズン中に勝利することができるパッケージを得て、それから彼に8度目のタイトルをもたらすことができるよう努力している」

「彼がそれを達成することに意欲的であるのは間違いない。それが彼の好きなことであり、彼にはその能力もある。我々は個人的にも、チームとしても彼と素晴らしい関係を築いている。この10年間、強力な柱のひとつだ。我々は、本当に素晴らしいところにいるんだ」