ロードレース世界選手権で9度のチャンピオン経験を持つレジェンド、バレンティーノ・ロッシは2021年引退後、4輪レースへ本格転向。今度はル・マン24時間レースのサポートイベントであるミシュラン・ル・マン・カップの”Road to Le Mans”の2レースに出場することとなった。

 ロッシはTeam WRTが用意したBMW『M4 GT3』を駆り、ル・マンのサルト・サーキットを走ることとなる。サルト・サーキットの一部を使ったブガッティ・サーキットは毎年MotoGPで走ってきたが、公道も使用した全長13kmのフルレイアウトでのレースは、ロッシにとって今回が初となる。

 ル・マン24時間レースは今年で100周年。その週末の木曜日と金曜日にそれぞれ行なわれる55分のレースにロッシは挑むこととなるが、そのチームメイトはまだ明かされていない。

 今回のミシュラン・ル・マン・カップへの挑戦は、ロッシが今年からBMWのファクトリードライバーとなり、将来的にハイパーカーでル・マン24時間の総合優勝を狙いたいと表明したことに伴うモノ。BMWは2023年からLMDhマシンをIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に投入しているが、2024年からは世界耐久選手権(WEC)にも展開することとなっており、ロッシは2023年末までにLMDhマシンをテストする予定となっている。

 またWECでは、来季からGT3規格のクラスが新設されるためM4 GT3でのル・マン参戦も可能となる。

 ロッシはmotorsport.comのインタビューで、ル・マン24時間レースに最高峰クラスから参戦する意思を示していた。

「ル・マン24時間レースに参加したいんだ」と彼は言う。

「今はGTカーのレースをしているけど、ハイパーカーで出場する可能性もある」

 ロッシは、4輪転向2年目となる2023年シーズンはWRTからGTワールドチャンレンジ・ヨーロッパに参戦。2023年のドバイ24時間レースでは、転向後初となる3位表彰台を獲得している。

 なお今年のル・マン・カップのグリッドには、元F1ドライバーで”コルベット使い”として名を馳せたヤン・マグヌッセンを筆頭に、馴染みの名前が並んでいる。マグヌッセンはル・マン24時間レースにもインターユーロポールからLMP2 Pro/Amクラスに参戦するため、1週間でふたつの仕事をこなすこととなる。

 ミシュラン・ル・マン・カップには、アストンマーチン、ホンダ、ポルシェ、アウディ、BMW、フェラーリ、メルセデス、ランボルギーニのGT3がグリッドを彩ることとなる。

 ル・マン・エンデュランス・マネジメント(LMEM)のフレデリック・ルキアンCEOは、ロッシの参戦について次のように語っている。

「Road to Le Mansは、今回も多くのエントリーを集めていて、シリーズ常連組に加えて、スタードライバーも走る。バレンティーノ・ロッシをグリッドに迎えることは、このイベントにとって大きな後押しとなる」

「またミシュラン・ル・マン・カップの耐久レースにおける重要性も証明された。ル・マンの特別な記念の年に、2023年Road to Le Mansに参加する全ての人に最高の幸運が訪れることを祈りたい」