アルファタウリはF1第4戦アゼルバイジャンGPを前に、チーム代表のフランツ・トストが今季限りで退任し、後任としてフェラーリからローレン・メキーズが移籍することを発表した。このメキーズの移籍が問題なく進むかどうかは、フェラーリとレッドブルの間での話し合いに委ねられることになりそうだ。

 アルファタウリの次期代表に”内定”したメキーズだが、現時点ではいつアルファタウリに合流できるか不透明な状況となっている。メキーズはフェラーリとの契約が残っている上、フェラーリでスポーティングディレクターという要職についており、移籍する前にはガーデニング休暇をとる必要があるからだ。

 現アルファタウリ代表であるトストは、メキーズ移籍の正確な時期について、フェラーリとレッドブルの間で調整する必要があることを示唆した。

「それはまず、ローレンとフレッド(フレデリック・バスール/フェラーリ代表)の間で決めることだ」

 トストはメキーズ加入に向けた整理について、そう語った。

「そしてもちろん、レッドブルが大きな役割を果たすことになる。オリバー・ミンツラフ(レッドブルCEO)がフェラーリのCEOと話をして、解決策を見つけると思う」

 フェラーリはこの移籍を完全に阻止するつもりはないものの、バスールはアルファタウリが発表を行なったタイミングに腹を立てているようだ。そのため、アルファタウリおよびレッドブルが望むような迅速な移籍の実現を渋っているのだ。

 しかしmotorsport.comの調べによると、この状況をめぐってレッドブルとフェラーリの間で交渉が開始されることになっているという。その交渉のカギを握るのは、両者が歩み寄って妥協案を出せるかどうかだろう。

 フェラーリは最近、レッドブルを含む他チームからエアロダイナミクスのスタッフなどの人材を引き抜くために採用活動を続けている。

 こうしたスタッフの契約はすでに成立しているものの、ガーデニング休暇が義務付けられているため、フェラーリはこれらの人材をしばらく確保することができない。

 しかし情報筋によると、レッドブルからフェラーリに移籍するスタッフの契約を早期に解除することに同意すれば、フェラーリはメキーズのアルファタウリ移籍に関する状況を変えることをいとわないかもしれないという。

 フェラーリはこの件に関してコメントしていないが、メルセデスのトト・ウルフ代表は、チームの体制を整える上でバスールが攻撃的になる準備ができていると示唆した。

 メキーズの状況について、ウルフは次のように語った。

「フレッドは自分のチームを整え、正しい決断を下す必要がある」

「”旅人”を止めることはできない。それは常に私の哲学であり、誰かが移籍したがっていて別の機会を見つけたなら、行かせてあげて、その成功を祈るんだ」

「フレッドは純粋なレーサーであり、自分が何をしたいのかよく分かっている。彼は状況に納得しているが、明らかにその発表の仕方が少し唐突だった。フレッドはフェラーリのためにベストを尽くすつもりなんだ」

「そしてそれが肘を出す(他を押しのける)ということを意味するなら、それでいいということなんだ」