F1第5戦マイアミGPは、9番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が、ポールシッターでチームメイトのセルジオ・ペレスをパスし、逆転優勝を果たした。

 レッドブルにとっては、開幕から他チームに優勝を譲らず5連勝。ワンツーフィニッシュも4度目と、圧倒的な支配が続いたレースとなった。

 レッドブルのチーム代表であるクリスチャン・ホーナーは、「大きな勝利だった」とレースを振り返った。

「今季アメリカでの2勝目、シーズン5勝目、そして4回目のワンツーだ。特にポールポジションと9番グリッドからのスタートだったことを考えると、素晴らしいパフォーマンスだった」

 レース序盤はポールシッターのペレスがリード。ミディアムタイヤを履き、ペースをコントロールしながら首位を走った。一方、フェルスタッペンはハードタイヤでスタートするリバース戦略。9番手スタートから次々とポジションを上げ、15周目にはペレスに次ぐ2番手に浮上した。

 フェルスタッペンは、ペレスが20周目にピットインしてからもハイペースで走行。ピットストップを45周終わりまで引っ張ると、ペレスのすぐ後ろでコースに復帰した。

 新品のミディアムタイヤを履くフェルスタッペンに対し、ペレスは25周以上を走ったハードタイヤでは対抗できず、48周目のターン1で首位陥落。レッドブル同士の優勝争いはここで決着した。

 両者の戦略について、ホーナーは次のように説明。ペレスは最速だと考えられていた戦略で、フェルスタッペンは自ら選んだ戦略でレースに臨んだと話した。

「チェコ(ペレス)はミディアムタイヤでスタートしたが、我々はシミュレーションではミディアムからハードに交換する方が速い戦略だと考えていた。だから、彼はその作戦でレースを戦ったんだ」

「マックスはシミュレーションではそれほど速くはないものの、レース後半にセーフティカーが出動した時に有利になる、ハードタイヤでスタートする戦略を望んでいた」

「チェコのスタートも素晴らしい仕事だったが、今日のレースで本当に印象的だったのは、マックスがトラフィックに巻き込まれながらも5.5秒以上離されることなく、それを抜けていったことだ」

「そしてチェコがピットインした時には、彼は1秒か1.5秒後ろにいたと思う。20周目にチェコがピットインしたあと、マックスはその後もハードタイヤで走ることになったが、基本的にはストップウォッチとの戦いだった。20周のオールドタイヤで、チェコのラップタイムに匹敵する、時にはそれ以上のラップタイムを記録したことが、彼の勝利につながった」

「そして残り12周でマックスがピットインし、ミディアムタイヤでピットレーンを出た時は、1.5秒差に迫っていた。それからはグリップのアドバンテージがあった」

「彼らは明らかにハードに、しかしフェアにレースを展開した。だけど(フェルスタッペンが9番手スタートになった)ダメージは最初のスティントの中盤にすでになくなっていたんだ」

 フェルスタッペンは予選Q3で、ミスをしたことでアタックを中断。その後の赤旗掲示でしっかりとタイムを出すことができなかった。ホーナーは、フェルスタッペンがそのリカバリーを目指していたと話す。

「彼は予選の後、明らかにミスをした自分と、それを修正するチャンスを得られなかったことに苛立っていた。そして、今回のレースに自信を持って臨み、少し違ったことをやりたかったのだと思う」

「戦略については当然議論され、一晩ですべての数字を計算し、長所と短所を比較検討した。彼のエンジニアリングチームとマックスは、今日その作戦を実行することを強く望んでいた。『それが君のやりたいことであるならOKだ』とそれに同意したんだ」

「(フェルスタッペンがさらにステイアウトしていた)可能性はある。でも、残り12周のところまで来ていて、どこかのタイミングでピットインしなければならないと考えていた。彼にとっては最適なタイミングだったんだと思う。そしてそれは、彼がコース上で(ペレスを)パスしなければならないことを意味していた」

 ポールから2位に終わったペレスは、ミディアムタイヤを履いた第1スティントでフェルスタッペンとの差を広げられなかった。ホーナー曰く、ペレスがかなりタイヤをマネジメントしていた他、フェルスタッペンがセクター1でかなり速かったと語った。

「最初の10周は、チェコはかなりペースをマネジメントしていた。彼は右フロントにナーバスになっていたように思う。他のチームにグレイニングが出始めた時、彼は右フロントを守るために上手くやっていた。そして最初の10周を過ぎたあたりからプッシュし始め、リードを築き始めた。ミディアムタイヤは、フェルナンドがかなり長い距離を走ったように、とてもいいタイヤであることがわかったからだ」

「(ペレスとフェルスタッペンの差は)純粋にセクター1だ。ターン3〜6だと思うんだけどね。マックスはそのセクターで傑出していた。その他の部分ではあまり差がないが、そこで本当に大きなダメージを与えていたんだ」

「スポーツの世界では、波があるものだろう。1週間前(アゼルバイジャンGP)は、彼(ペレス)は絶好調だった」

「でも、彼はそれほどがっかりしていないだろう。今日、マックスに勝てた人はいないと思う」