MotoGPクラスにオーナーとしてVR46チームを参戦させているバレンティーノ・ロッシは、将来VR46をヤマハのサテライトチームとするかどうかについては、マシンの戦闘力次第だと語っている。

 2021年限りでMotoGPを引退したロッシはその後、四輪レース活動を開始。忙しく動き回っており、VR46チームをMotoGPに参戦させてはいるものの、パドックに姿を見せることは少ない。

 しかし先日行なわれた第4戦スペインGPでは、そのロッシが現地入り。既に引退した身ながらも、注目を集めた。

 motorsport.comはそんなロッシにインタビューを実施。VR46を巡る噂に関する彼の考えを聞いた。

 VR46は2022年のMotoGP最高峰クラス参戦開始に際し、ロッシとの関係が深いヤマハではなく、ドゥカティのマシンを使うことを選択した。この契約は2024年シーズンまで続くが、2025年以降はヤマハのマシンに切り替えるのではないかという噂もある。

 そしてスペインGPの週末には、ロッシがヤマハのブランドアンバサダーに就任したことも発表されるなど、未だにヤマハとロッシの結びつきが強いこともあり、改めてVR46のマシンスイッチの可能性が注目された。

 ロッシはヤマハがVR46を説得したければ、何をしなくてはならないかという問に対し、マシンを改善することだと答えた。

「僕らは来年末まで(ドゥカティと)契約を結んでいるから、2024年もドゥカティとレースをすることになる」

 そうロッシは語った。

「僕はヤマハのライダーだから、VR46にはヤマハとレースをしてもらいたいと思っている。これは理解できる話だろう」

「問題は、ヤマハがM1を改善する方法を見つけなくてはならないということだ。僕らは優勝や表彰台を争えると考えてレースに望みたいと思っている。そして現時点でヤマハの技術的な状況は、複雑なモノがある」

「彼らには改善の可能性があるし、まだ(2025年以降のマシンを)決めるには時間がある。ただドゥカティは(トップのジジ)ダッリーニャが登場して以降、技術レベルを大きく引き上げている。他のメーカーが追う側になっているんだ」

 ロッシはこうした変化について、ドゥカティが投資する一方で、日本メーカーが支出を減らしていると指摘する。

「僕はそう(技術的なものと哲学的なもの)だと思っている」

「ドゥカティは見直しを行なっただけではなく、莫大な投資も行なっている。一方で日本のメーカーは支出を減らしているんだ」

 なお今季のVR46は、ロッシのアカデミー出身であるマルコ・ベッツェッキと、ロッシの弟であるルカ・マリーニのコンビが活躍し、これまでのところ非常に順調なシーズンとなっている。

 一方でヤマハで戦うもうひとりのロッシの”弟子”であるフランコ・モルビデリは苦戦が続いている。ロッシは、この先の4〜5レースがモルビデリにとって非常に大事になってくるだろうと語った。

「次の4〜5レースは、フランコにとって非常に重要な期間になってくる。なぜなら、彼がヤマハファクトリーチームでやれると証明できるかは、彼次第だからだ」

「ヤマハのバイクには問題もある。でも彼は少なくとも、(チームメイトのファビオ)クアルタラロと同じくらいの速さで走らなくちゃいけない」