アルピーヌのCEOを務めるローラン・ロッシは、2023年シーズンのアルピーヌF1の戦いぶりに満足しておらず、批判的な言動も行なっている。ただ、これはチームにとってのプレッシャーにはならないとオットマー・サフナウアー代表は語る。

 アルピーヌは2023年シーズンが始まって以来、目標としていたランキング4位の維持は難しい状況で、マクラーレンと同ポイントのランキング5番手につけている。ロッシCEOはマイアミGPの週末にこれを厳しく批判する発言を行なった。

「今年はパフォーマンスを欠いた状態でスタートした。そして、今年の最終的な目標から我々はかなり離れたポジションにあることは明らかだ。我々の費やしたリソースにも見合っていない」

「パフォーマンスの欠落だけではない。私が指摘しているのは、チームの過去の基準に照らしても、達することのできていない潜在的な心の持ちようについても言っているんだ」

「開幕戦はまあ素晴らしいモノではなかった。なぜなら、こう言うのも心苦しいが……アマチュアのようで、その結果として適切な結果を得ることができなかったんだ。二流だったし、良くないものだった」

「そして前回のバクーでのレースは開幕戦と非常によく似たものだった。受け入れられるものじゃない」

 フランスの放送局Canal+にそう語ったロッシCEO。この発言を受けて、チーム代表のオットマー・サフナウアーにも取材が殺到したが、彼はこうした批判が公然と会社上層部から行なわれても、チーム内の“より良い仕事をする”決意という点は何も変わらないと主張した。

「紙面でそういったコメントを読んでも、それ以上のプレッシャーはない」

 より良い結果を今出す必要があるのかと聞かれた際、サフナウアー代表はそう答えた。

「誰もが良い結果を出したいと思っている。我々は非常に経験豊富で、技術者やエンジニアもハイレベルだが、自分たちにプレッシャーをかけてしまう。だから、それを修正することが必要なんだ」

「メディアの見出しで、あなた方が何を書いているのかは見たが、時間が無くて読んでいない」

「ただバクー(アゼルバイジャン)で我々は出来が悪かった。オーストラリアではドライバー同士がぶつかり、開幕戦ではエステバン(オコン)のグリッドはみ出しから始まる無数のペナルティがあった」

「スムーズなシーズンのスタートにはなっていない。だから彼もそういったコメントをしたのかもしれない。ただ、まずは記事を読まないとね」

 サフナウアー代表は、チームにとって優先すべきことは今年起きたミスから学ぶこと、それを二度と繰り返さないためにインフラやプロセスに変更を加えることだと語った。

「バクーでのような問題があった時に我々にできるのは、なぜそれが起きたのか、その根本的な原因を理解し、再び発生しないようにプロセスや人員配置を見直すことだ」

「エンジンの火災があった。それが再発しないようにしなくてはならない。そしてもう一方では別のトラブルもあったが、原因が分かれば軽減する方法はある。それが我々のすることであり、既に実施している。ここ(マイアミ)では発生しなかった」

 いずれにせよ、ロッシCEOの発言はチームに対してのメッセージであることは確かだろう。サフナウアー代表は、今後ロッシCEO本人と話を行なう意向を示している。

「私にも分からないので、彼に聞いてみないといけない。話をしてみるつもりだ。今週末は非常に忙しかったため、この事について話す機会がなかったんだ」