ブラッド・ピットはApple TVサポートの元、F1を題材にしたハリウッド映画の製作に向けて動いている。そしてこのプロジェクトには、メルセデスAMG F1のルイス・ハミルトンがプロデューサー兼アドバイザーとして加わっている。

 ハミルトンは、『トップガン』最新作の制作陣が作り上げるこのF1映画が、既存のF1ファンにも受け入れられる”本物志向”だと明かした。ただ、出演陣が本物のF1マシンを走らせるということはなさそうだ。

 このF1映画は、まもなくグランプリイベントでの撮影が開始される予定となっているが、マイアミGP後にはピット本人がイギリスGPのフリー走行で本物のF1マシンに乗り、現役ドライバーと共にコースを走るのではないかとの憶測が飛び交った。

 映画の撮影クルーが11番目のチームとして運営されるという説には、アンドレッティ・オートスポートからインディカー・シリーズに参戦し、一時はF1転向も噂されたコルトン・ハータも反応。彼がスーパーライセンス発給要件を満たしていなかったことで、F1への道が途絶えただけに「僕より先にブラッド・ピットがスーパーライセンスを得た。厳しいね」とツイートした。

 ただ、ピットが実際のセッションを走るというのは、ライセンスだけでなく安全性やスポーツの公平性という観点から、的外れな話だ。フリー走行は、レースに向けて各チームが準備を進める時間であり、そこに俳優がドライブするマシンが走行するというのは、論理的に不可能だ。

 その代わりに、ピットが改造を受けたフォーミュラマシン(F2またはF3マシン)を使ってサーキットを単独走行する様子を撮影する計画があることが分かっている。

 グランプリ期間中の撮影は、コース上でのマシン撮影というだけでなく、サーキットを訪れた観客や実際の施設といった背景を収録するのに役立つだろう。

 F1ファンから馬鹿にされるようなファンタジーに終わってほしくはないと語るハミルトンは、プロジェクトが着々と進んでいると語った。

「今は脚本が正しいかどうかを確認することに集中している。現状はその段階にいる。本当に素晴らしく、多様なキャストが揃っているかどうかを見極めているんだ」

「ジョー(コシンスキー/監督)は、このスポーツに可能な限り入り込めるようにすることに重点を置いている。それが現状だ。僕としては、この作品が本物であるかどうかを確認して、レースファンのみんなに『これは本物』『信用できる』と言ってもらえるようにすることが仕事だ」

「また、テレビとは違う視点からレースを観ることができるように、そして広く、F1が本当にクールなスポーツだということを伝えたいんだ」

「だから今、僕はジョーとチームが脚本を正しく仕上げるのを手伝うべく、多くの時間を費やしているんだ。本当に楽しめているよ」