F1第5戦マイアミGPの前に行なわれたIWCシャフハウゼンのバスケットボールイベントで、元F1ドライバーでレッドブル・レーシングでデモランを担当するデビッド・クルサードに独占インタビューを実施。彼はニュージャージー州ウィーホーケンの市街地サーキットで予定されていたニューヨークGP開催計画を復活させるべきだと考えている。

 このニューヨークGP開催計画は、一時2013年のF1カレンダー入りを果たしたものの、契約上の問題でプロジェクトが頓挫していた。

 ただ、開催に向けては、”グランプリ・オブ・アメリカ”の旗印のもと、開催予定地で2012年にイベントが行なわれていた。その際、クルサードがレッドブル『RB7』ショーカーで、ヘルマン・ティルケ設計のハドソン川を見下ろす総距離5.1km、高低差45mのポートインペリアルサーキットの一部を走った。

 アメリカでは2012年にオースティンのサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でF1が復活すると、Netflixのドキュメンタリーシリーズの人気もあり、2022年にはマイアミGPが初開催、2023年にはラスベガスGPがアメリカ3戦目として復活することになった。

 そして、クルサードは前述のニューヨークGPの開催予定地がアメリカ4戦目として「完璧な場所だ」として、F1カレンダーの中でも一二を争うサーキットになるはずだと語っている。

「数年前、僕らはニューヨークのウィーホーケンでレースを開催しようとした」とクルサードは言う。

「レッドブルのショーカーの1台で走ったのを覚えている。F1マシンでコースの一部を走ったんだけど、信じられないくらいだったよ」

「マンハッタンの反対側には、スパ(フランコルシャン)あるオー・ルージュを優しくしたようなセクションがあったんだ!」

「もし、あそこでの計画を復活させることができたら、完璧な場所だと思うんだ」

 1国での複数レース開催は珍しくもないが、アメリカでの4戦目となれば異例のこと。ただ、アメリカでもう1イベントを開催する余地は残されているとクルサードは言う。

「国土を考えれば、将来的にここで4つのレースを行なうことも可能だと思う」とクルサードは続ける。

「それこそがユートピアの夢……(F1にとって不毛の地と言われた)アメリカを打破することになる」

「(アメリカでのレース)それぞれに独自の味付けがされているし、違いを出すべきだ。アメリカは州ごとに大きく異なるから、レースごとにそれをイベントへ反映する必要がある」

「オースティンは、僕らの慣れ親しんだサーキットで、着いたらすぐにレースができる。マイアミは少しハイブリッドなサーキットで、ベガスは大人の遊び場だ。単なるコースやイベントとしてだけでなく、都市としてF1一色に染まる。(ラスベガスGPは)土曜日のナイトレースということで、大きな話題になるだろう」

 アメリカでの4戦目に好印象を抱いているのは、クルサードだけではない。アストンマーチンF1チームのマイク・クラック代表は、ニューヨークGPを魅力的な選択肢として考えている。

 motorsport.comがニューヨークでのグランプリ開催の可能性について尋ねると、彼は次のように答えた。

「僕らはみんなここ(アメリカ)に来るのを楽しているし、レース数が多すぎて市場が飽和しないように気をつければ、良いことだと思う」

「カレンダーを作成する際、距離や持続可能性についての議論をすると、ひとつのエリアで多くのレースが頻繁に開催されることとになり、非常に危険だ。ただ、我々はここで4回目のレースを行ないたい。問題はないさ」