F1エミリア・ロマーニャGPの開催中止が決定。豪雨被害続く中「地域社会への余計な負担を避ける」
イタリアは5月に入って豪雨に見舞われており、少なくとも2人が死亡。24時間の間に12以上の河川が決壊し、今週末も洪水や土砂崩れに対する気象警報が発令されている。このため、多くの地元住民が避難しており、緊急洪水救援のための募金活動が行なわれている。
イモラ・サーキットに隣接するサンテルノ川も氾濫の恐れがあるとして、ガレージやホスピタリティユニットを設置しているパドック関係者に対し、火曜日の午後にはサーキットを離れるように指示が出され、水曜日になってもサーキット入りが許されていない状態だった。
一部チームのスタッフはホテルを移動した他、サポートパドックやテレビ放送用の施設が水に浸かっている様子を示す画像や動画がソーシャルメディアに掲載された。
水曜日の朝、当局およびレースプロモーターと協議した結果、レースを安全に進めることはできないと判断された。グランプリ開催によってファンが集まり、地域社会が直面するリスクや、地域の緊急サービスに対する負担の増大が受け入れられないという側面も大きいだろう。
F1のCEOで、自身もイモラ出身のステファノ・ドメニカリは次のように述べた。
「イモラとエミリア・ロマーニャ、私が育った街と地域に起きたことは悲劇であり、私の思いと祈りは洪水による犠牲者や、その影響を受けた家族や地域社会と共にある」
「助けを必要とする人々のためにたゆまぬ努力を続けている救急隊に感謝の気持ちと賛辞を送りたい。彼らはヒーローであり、イタリア全体が誇りに思っている」
「今回の決定は、地域コミュニティとF1ファミリーの全員にとって正しいものだと考えている。我々は安全を確保する必要があり、地域当局がこの酷い状況に対処している間は、余計な負担をかけないようにしなければいけない」
グランプリ開催直前での急遽の中止は、2020年のオーストラリアGPが記憶に新しい。当時は新型コロナウイルスのパンデミックの影響が本格化していた時期であり、フリー走行開始直前の金曜朝に中止が決定された。
なお、今シーズンの開催カレンダーは今後も非常にタイトなため、エミリア・ロマーニャGPが年内にリスケジュールされる可能性は極めて低いと考えられる。今季は既に中国GPがコロナ禍の影響で開催中止となっているため、2023年シーズンは当初の予定より2戦少ない22戦となる見込みだ。
これに伴ってシリーズ第6戦は、5月26日〜28日にかけて開催されるモナコGPということになる。