【MotoGP】サテライトを遅くしろなんて言ってないって! バニャイヤ、発言の意図無視した論争に「ウンザリ。もうスポーツの事しか話さん」
バニャイヤはフランスGPで表彰台を争っていたものの、マーベリック・ビニャーレス(アプリリア)との接触により序盤に転倒を喫し、リタイアしてしまった。
またフランスGPではその他にも数多く転倒が発生し、完走は13名とまさにサバイバルレースという状況だった。この状況の中、バニャイヤは2023年のこれまでのレースで見られてきた、レース序盤のクラッシュを減らすためには何ができるかを尋ねられた。そして、そこでの発言が大きな波紋を呼ぶことになった。
「僕の考えでは、ここ2年ほど僕らは序盤数周で勝とうとしてきたと思う」
「前を走れるポテンシャルのない、本来後ろを走るライダーが一度に6人もオーバーテイクしようとするんだ。もちろん、それはうまくいかない」
「僕らはみんな限界までプッシュしている。限界でブレーキをかけているなら、それ以上を求めるのは間違いだ。それにレースの序盤ならなおさらだよ。ほとんどのクラッシュは序盤に発生している。混乱しすぎているんだ」
「今の状況では、全てのバイクが勝つ力を持っている。安全なシナリオではないから、それについて考える必要がある」
「先頭から最後尾のバイクまで、全員が勝つ可能性がある。ファクトリーバイクとサテライトのバイクの間には、かつて存在したようなコンマ6〜7秒の差は存在しないんだ」
「“ファンタスティック・フォー”(バレンティーノ・ロッシ、ダニ・ペドロサ、ケーシー・ストーナー、ホルヘ・ロレンソ)が歴然としていたのは、彼らがベストだったからだし、彼らがファクトリーバイクを手にしていたからだ」
「他のライダーはかなり離れていて、彼らには技術的なレベルでも、先頭を走るポテンシャルが無かったんだ」
「今ではその水準は極めて高く、何もかもが限界まで押し上げられている。ファクトリーとカスタマーのバイクの差を少し取り戻すか、こういった状況を避けるための解決策を見つける必要がある」
■『ファクトリーとサテライトの差を以前のように戻せ』なんて言ってない!
物議をかもしたのは、バニャイヤが『ファクトリーとサテライトの差を以前のように戻せ』と言っているように受け取られたことが原因だった。
MotoGPの公式ポッドキャストに出演したテック3(GASGAS)の代表でありチーム協会の会長でもあるエルベ・ポンシャラルは「発言には驚かされた」とし「はなはだ馬鹿げている」と批判。サテライトチームが競争力のあるバイクを手にしている状況は素晴らしいことだと説いた。
そうして批判に晒されるようになったバニャイヤ。しかし彼としては発言が本意ではない形で受け止められてしまっていると、心を痛めている様子だ。
「ニュースになった内容は、一部の人達による解釈のせいで文脈を外れてしまっている」と、バニャイヤは言う。
「僕は安全性と、なぜアクシデントが増えているのかの理由について尋ねられたんだ。そしてシンプルに類推して、以前はこういったことは起こっていなかったと答えた」
「数年前はトップライダーとその他との間には大きな差があったから、接触も少なかったと僕は考えた」
「今は皆が相当接近している。僕はサテライトチームからMotoGPにデビューした。それがどうやってファクトリーとサテライトのバイクの間で差を作れと提案するんだ?」
「クラッシュが増えているのは、チャンピオンシップの争いが接近しているせいだ。僕らはどんどん接近していて、皆が限界でブレーキをかけている」
「後方からのスタートだったとしても、先頭を走れるペースがなくとも、新品タイヤを最大限活かすためにスタートでは可能な限り多くポジションを稼ごうとするんだ」
「だからレース序盤にたくさんのアクシデント発生しているんだ」
そしてバニャイヤは、意図していない形で受け止められたことで広がった論争にMotoGP公式サイトすら火に油を注ぐような動きをとっていることに、ウンザリしていると語った。
「ル・マン戦の後、3日ほどスマホなどの連絡を断っていた。それで戻ってくると、ポンシャラルの起こした論争が、公式サイトによって更に拡散されていた」
「僕は物議を醸すような発言はしていないのに、(論争は)雪だるま式に大きくなっていった。そして、それどころか安全性としても非常に大きな問題だと僕は気がついたんだ」
「残念だけど僕、誰が勝つのかとか、コース上で行なわれる美しいバトルだとかについて話すよりも、論争を求める人達がいるという力関係に僕らは入りつつあるようだ」
「最近は僕の能力ではないことについての話が多すぎる」
「僕はライダーなんだ。このスポーツのことが大好きだし、唯一の目標はレースに勝ち、チームとやっていくことだよ。今後はよく理解しているスポーツに関することだけ話して、後のことは他の人に任せるよ」
「論争を引き起こす口実として文脈を無視して受け取られた言葉を全て説明しなくてはならないことに、ウンザリしているんだ」