2023年現在、唯一の日本人F1ドライバーとしてアルファタウリから参戦している角田裕毅。彼は昨シーズン、契約延長に囚われてしまい、レースを楽しむことを忘れてしまう時期があったと明かした。

 角田はFIA F2をわずか1年で通過し、2021年シーズンにアルファタウリからF1にデビュー。チームの拠点のあるイタリアへの移住などを行ないながらパフォーマンスを上げ、2022年の契約延長を勝ち取った。

 その2022年シーズン、角田はF1、そしてレースを楽しむことを忘れてしまっていた時期があるという。その背景には、2023年に向けての延長契約締結が9月末までかかってしまったことがあると、角田は振り返った。

「全力を尽くしていたのは当然のことですが、振り返ってみると、特にアゼルバイジャンGP(6月)と日本GP(10月)の間で契約が無かった頃は、気が散ってしまうことも多かったです」

 角田はそう語る。

「あの時、僕はF1を楽しむことを忘れてしまっていました。チームや契約のためにドライブしているようでした。そうあるべきでは無いんですけどね」

「シーズン序盤に良い結果を残せていた時を振り返ってみると、本当にその瞬間を楽しめていました。それが一番大事なことだと感じたんです」

「そういったことは考えたくないです。僕は契約のために走っているわけじゃありませんから。僕はこの場所で、自分のベストなパフォーマンスを見せるために走っています。今も自分はベストなドライバーのひとりだと思っていますし、結果とドライビングでそれを証明したいと思っています」

 そして角田は、こういった認識を持つことで、2023年シーズンに向けてメンタル面を切り替えることができたという。



 今年はピエール・ガスリーがチームを離脱し、角田はチームを引っ張る存在となれるか注目も集めていた。そして角田は開幕戦から、高いパフォーマンスを発揮。戦闘力では決して優れたマシンではないにもかかわらず、2度入賞を果たして高評価を受けている。

「過去数年のレースキャリアと比較しても、遥かに楽しめていると思います」と、角田は言う。

「レースが自分にとってどんな意味のあるモノなのか、F1が僕にとってどんな価値を持っているのか……それは良く分かっていますが、2年前は今ほどそれを感じていませんでした」

「昨年はレース毎に自分はもっとやれると感じていました。予選でもそうでした。でも特に3年目は何が起こってもおかしくないですし、このままではシートを失ってしまいます」

「それで、自分にとってF1とモータースポーツがどれだけの意味を持っているのかを、改めて考えることができました。オフシーズン中にそういったことを考えると、色々なことが変わりました」

「ドキュメンタリーも見ました。F1で完璧にパフォーマンスを発揮できずやがていなくなるような、後悔だらけの男にはなりたくありません。その考えが、僕を強くしてくれますし、今はプロフェッショナルとして自分自身を本当に変える時です」

「変化しようというより、できるだけリラックスしようと努めていました。普段どおり落ち着いて、でも同時に毎回のレースを楽しみ、全力を尽くして良いパフォーマンスを発揮するんです」