メルセデス、投入決断したアップデートに感触上々。ハミルトン「改善されたことを間違いなく実感できた」
トリッキーな市街地コースで新しいパッケージについて学ぶのは明らかに簡単なことではないが、メルセデスはいち早くアップデートを実施し、走行距離を重ねることを選択した。メルセデスのマシン『W14』はサイドポンツーンが大きく変更されているほか、フロントサスペンションもジオメトリが変更されている。
モナコは特にドライバーの自信が大きく結果を左右するコースであり、ここでマシンを大幅に変更するのは一種の賭けにも見えてしまうが、そもそもルイス・ハミルトンやジョージ・ラッセルがマシンに自信を持てていなかった以上、妥当な判断だと言ってもいいだろう。
結果としてハミルトンはFP2を6番手、ラッセルは12番手で終えたが、アップデートについて質問を受けたトト・ウルフ代表は、次のようにmotorsport.comに語った。
「モナコは難しい。判断するのが本当に難しいんだ」
「しかし、少なくとも、本当にネガティブだと判断されるようなクルマの挙動は見られなかった」
マシンがドライバーに必要な自信を与えているかと問われ、彼は「モナコでは、ドライバーが『いい感じだ』と言ったのを聞いたことがないよ!」と答えた。
「いつもナイフの刃の上にいるようなものだ。(FP2でクラッシュした)カルロス・サインツJr.で見たようにね。だからドライバーから大絶賛されているというわけではないが、間違いなく正しい方向に向かっている」
ウルフは、新しいパーツをサーキットに運ぶためにチームが行なった努力を誇りに思うと強調した。
「ボディワーク全体やフロントサスペンション、フロアも違うのが分かったと思う。ブラックリーにいるみんなが、それを成し遂げるために素晴らしい仕事をしたんだ」
「そして今や、これが我々の新しいベースラインであり、ここから仕事をしていかなければならないんだ」
一方、モナコGP初日のライバルたちの動向について、ウルフはFP1では不調だったレッドブルのマックス・フェルスタッペンが、FP2では前進し他のドライバーを一歩リードしていることを証明したと考えている。
「マックスはロングランで自分のクラスにいたよ。少なくとも今日の段階でシングルラップではかなり接近していると思うが、ロングランではパフォーマンスがあってデグラデーションもないクルマがいた。彼らはいい仕事をしたよ」
ハミルトンは、ポジションこそ6番手に留まったものの、新しいパッケージでの初日がポジティブなものだったと主張した。
「今日は総じて素晴らしい一日だった。本当にドライブを楽しめたよ」
「ファクトリーのみんなに、大きな、大きな感謝を伝えたい。クルマを作り、設計し、開発するのは簡単なことではないのだから。そして、みんなが多くの時間を費やし、多くのハードワークを経て、今日ここに(アップデートパッケージが)あるんだ」
「彼らのためにも、トラックに留まり続けることができて良かったと思う。そして多くのデータを得ることができた。モナコはテストやアップデートを行なうのに適した場所ではないけれど、クルマのフィーリングはおおむね良好だった」
「セッションの最後に、期待していたほどに(トップに)近づけなかったのは少し残念だが、改善されたことは間違いなく実感できた」
具体的な改善点はあるかと聞かれたハミルトンは、明言を避けた。
「あるけれど、それがどこかは言わないよ。僕としては、パフォーマンスを失っているエリアが明確にある」
「そしてそれについてはブリーフィングで話すことになる。そして、今あるものの中で、どうすればそれを実現できるかを、みんなで知恵を出し合って考えよう。そしてそれが、今後につながるプラットフォームになることを願っている」
ラッセルもまた、マシンの改善に明るい表情を見せた。
「セッションからは明らかにポジティブな兆候がある。明らかにFP1より良くなっている」
「ここモナコは決して簡単な場所ではないんだ」
「僕たちは多くの変更を施し、以前のクルマでもやっていたであろうことを行なった」
「この新しいアップデートは、特別なものではないんだ。アップデートに限ったことではないけど、タイヤからより多くのものを引き出すために、さらに何ができるかを一晩中考えてみることにしよう」
「マシンの基本性能が良いことは分かっている。そして通常、僕たちは日曜日に大きなパフォーマンスを発揮し、土曜日に発揮するパフォーマンスが過小になる。だから、今週末はそれをひっくり返す必要があるんだ」