F1モナコGPのフリー走行3回目、ルイス・ハミルトンがクラッシュ。このマシン回収のためにメルセデスのマシンW14が高く吊り上げられる場面があった。

 モナコはそのコース特性上、マシンを退避させるエリアが限られていることもあって、随所にクレーンが配置され、マシン回収が行なわれている。

 ハミルトンのマシンもかなり高く吊り上げられたが、これによりアンダーフロアの様子がバッチリ確認できる状態となってしまった。

 2022年のレギュレーション変更でグラウンドエフェクトを活用したマシンとなった今のF1。パフォーマンスの60%はフロアに依存するとエンジニアは考えており、それだけアンダーフロアのデザインは特に厳重な秘密となっている。

 各チームは、通常のサーキットでもフロアを隠すための特別なカバーを使用し、その秘密を守ろうとしてきたのだ。

 モナコで新パッケージを導入したメルセデス。サイドポンツーンやフロントサスペンションのアップデートが注目されているが、このクラッシュでフロアのアップデートの全貌も明らかとなってしまった。

 メルセデスのトト・ウルフ代表は、モナコのマーシャルをリスペクトしながらも有名なサーカス団『シルク・ドゥ・ソレイユ』がいたに違いないとジョークを飛ばした。

「クレーンのパフォーマンスをした人は、おそらくシルク・ドゥ・ソレイユのために働いていたんだろうね」

「正直に言って、私はちょっと飲み込めない。マシンはコースの上にあった。トラックに乗せることもできたはずだ。世界中の人にクルマを見せることになってしまったわけだからね。控えめにいっても、あれは我々にとって最適ではなかった」

 しかしウルフは改めて、このコメントが冗談であることを強調。「みんなベストを尽くしている」とモナコのマーシャルを賞賛している。

 また、その後の予選ではレッドブルのセルジオ・ペレスがQ1でクラッシュ。こちらもマシンが吊り上げられた。



 ウルフは、吊り上げられたレッドブルRB19がメルセデスW14よりも水平に近い状態だったことに注目した。

「彼らはみんなシルク・ドゥ・ソレイユの人たちだ。彼らのクルマ(レッドブル)はまっすぐに吊るされている。我々のクルマはリヤ下がりだったんだ!」

 その予選では、メルセデスは2台共にQ3に進出。ハミルトンが6番手、ジョージ・ラッセルが8番手となった。

 ウルフは、アップデートも含めたパフォーマンスについて驚きはなかったとしながらも、チームとして結果は良くなかったと認めた。

「6番手と8番手は良くないね」

「ポールポジション(マックス・フェルスタッペン/レッドブル)からコンマ3秒差で、両ドライバーのQ3があまり良くなかったのは確かだ。だが実際のところはOKだ」

「ルイスとジョージに関しては、最後のラップをまとめることができれば、トップ6あるいはトップ4に食い込めたかもしれない」