フェラーリのフレデリック・バスール代表は、F1モナコGPの決勝でのチームの戦略は、決して間違っていなかったと主張する。

 F1モナコGPの決勝レースでフェラーリは、シャルル・ルクレールが6位、カルロス・サインツJr.が8位と、レッドブルやアストンマーチンはおろかメルセデスとアルピーヌの後塵を拝する結果となった。

 レース中、サインツJr.はチームの戦略を公然と批判。ハードタイヤを履いてスタートしたにも関わらず、ミディアムタイヤ勢がピットストップを行なったのに反応し、ミディアムタイヤに履き替えたことに反対の姿勢を示したのだ。しかもレース終盤には雨が降ることも予想されていたため、雨が降るまでステイアウト……多くのマシンがそういう戦略を採った。それを考えれば、確かにフェラーリの戦略は失敗だったように見える。

 しかしバスール代表は、チームが採った戦略は決して間違っていなかったと語る。

「最初のスティントは、チームにとってはかなりうまくいったと思う。オコン(エステバン・オコン/アルピーヌ)の後ろに引っかかってしまうのは、想定していたんだ」

「我々はコース上で良いポジションにいたし、まともなペースだったと思う」

「ただラッセル(ジョージ・ラッセル/メルセデス)が最初のスティントを延長し、その間に雨が降ってきた。それで、我々がピットストップしたことでラッセルにポジションを奪われてしまった」

「スティントを延長しようとしたことで、ポジションを失ったわけじゃない。コースはそれほど濡れていたわけじゃなかったし、ある段階ではそのままウエットコンディションにならなければ、表彰台に上がれる可能性もあるだろうと予想していた。それは我々にとっては賭けだったけど、ポジションを失うことはなかったので、リスクはそれほどなかった」

「我々はスタート前、何かを達成するならば、リスクを冒す必要があるということを完全に理解していた。リスクを負うことについて、全く失望していない」

 なおレース中、ルクレールは44周を走り切ったところでピットストップを行なっている。順位を争っていたオコンやルイス・ハミルトン(メルセデス)、そしてサインツJr.は31〜33周目にピットストップしている。これらに比べれば、ルクレールの第1スティントは長い。

 天気予報を見て、ルクレールのスティントを延ばしたのではないのかと尋ねられたバスール代表は、次のように語った。

「そんなことはない。ある段階では、ポジションを失うことを避けるために、コース上で他の車両をカバーしなければならない」

 そうバスール代表は語った。

「レース後の17時半に、再びレースをやり直して、『スティントを延長すれば、雨が降ってきた時にタイヤを交換できる』と言うのは簡単だ。でもその当時にはどうなるか分からなかった。ライバルにポジションを奪われてしまう状況にあった。それは、カルロスも同様だった」

「カルロスは無線で『なぜスティントを延長しなかったの?』と言った。でも我々はその時、ピットストップしなければハミルトンにポジションを奪われてしまうところだった。モナコでは、コース上のポジションがとても重要であるのは、誰もが知っていることだ。たとえレース終盤に、自分がはるかに状態の良いタイヤを履けたとしても、ポジションを失うのは避けたいはずだ。誰かの後ろになってしまったら、そのままフィニッシュを迎えることになる」

「彼の戦略は、良い戦略だったと思う。彼にピットインを指示した時、それはハミルトンをカバーするためのものだった。ハミルトンにポジションを奪われないようにしたんだ」

「モナコでは、コース上のポジションが重要だから、これは良い判断だった。ハミルトンがいなければ、スティントを延ばした方がよかっただろうが、あの状況では仕方なかった」

「その後で雨がいつ降ってくるかということについて話し合うことができた。これは我々の側としては賭けだったが、あのタイミングでポジションを失わなかったので、後悔はない」

「モナコでの順位は、コース上のポジションで左右される。後ろにいるドライバーより3秒遅くても、抑えることができるコースなんだ。レース序盤にペレス(セルジオ・ペレス/レッドブル)が苦労したのを見れば、それが分かるだろう。彼を抑えたのはサージェント(ローガン・サージェント/ウイリアムズ)だったんだ」