アルファタウリのニック・デ・フリーズにとって、苦しいF1ルーキーシーズン序盤となっているが、6戦目のF1モナコGPは及第点の走りだったようだ。

 デ・フリーズは、チームメイトの角田裕毅に匹敵する速さを見せることが出来ておらず、クラッシュも多いことから早くもシート喪失の危機に直面しているのではないかと憶測されるほど、苦しいシーズン序盤を過ごしている。

 しかしモナコGPでは、予選で2戦連続となるQ2進出。Q3まで進出した角田との差をコンマ2秒以下に縮めた。決勝レースでは、角田にブレーキトラブルが起きたとはいえ、デ・フリーズはクラッシュもなく12位で完走。今季初めて角田より前でレースを終えた。

 レッドブルのモータースポーツアドバイザーであるヘルムート・マルコは、トリッキーなモナコGPの週末にデ・フリーズが見せたパフォーマンスに満足していると話した。

「この週末が、アルファタウリでの彼のベストウィークエンドだった」

「ニックは以前よりもずっとユウキに近づいていた。これこそ、私が彼に求めているものだ」

「ユウキもまた、ブレーキトラブルがまた起きるまで本当に良かった。これはチームが解決しなければならないことだ。彼らは頻繁にブレーキに問題を抱えている」

 一方で、F2やフォーミュラEでタイトルを獲得し、耐久レースでも活躍していたデ・フリーズにレッドブルがかけていた期待は、まだまだこんなものではないだろう。

「もちろん、我々はもっと多くを見てみたい」

 そうマルコは付け加えた。

「我々はユウキにチャレンジできるような、経験のある人物を連れてこようと思っていた。だがそれはまだ実現していない。それが一番重要なことなんだ」

 現状、レッドブルの育成ドライバーには日本のスーパーフォーミュラで活躍するリアム・ローソンや、F2モナコのスプリントレースで勝利した岩佐歩夢など有望な若手が揃っており、F1シートの空きを待っている状態だと言える。

 しかしマルコは、次戦スペインGPをデ・フリーズのパフォーマンスを判断する期限に設定したのではないかという噂を否定している。

「デッドラインはない、我々はただパフォーマンスを見ているだけだ」

 マルコは、そうmotorsport.comに語った。

「行動しなければならないときは、そのときに行動する。現時点で何もしていない」

 デ・フリーズはモナコGPを前に、まだポイントを獲得できていない自分のシートが危機に瀕しているという見方をされることに「ショックではなく、この業界では当たり前」だと述べていた。

 今季のF1スケジュール序盤戦は特殊であり、ルーキーの助けになっていないことも確かだ。エミリア・ロマーニャGPが中止となった結果、次戦スペインGPが開幕戦バーレーンGP以来のパーマネント・サーキットでの開催となる。

 デ・フリーズにとっても走り慣れているバルセロナで、彼がどんな走りをするのかは、重要な評価ポイントになってきそうだ。