2023年シーズン後半戦が幕を開けるオランダGPのフリー走行2回目でアルファタウリのダニエル・リカルドは、他車のクラッシュを避ける際にウォールにマシンを当て、ステアリングのキックバックによって左手を負傷した。

 リカルドは病院でのレントゲン検査の結果、左手の中手骨の骨折が確認された。これによってハンガリーGPからF1復帰を果たしたリカルドは欠場が決定。アルファタウリは代役として、レッドブル系チームのリザーブドライバーを務めるリアム・ローソンを指名した。

 昨年はアルファタウリで2度、レッドブルで1度F1のフリー走行セッションに参加してきたローソン。今回は彼のレースキャリアについて紹介する。

リアム・ローソンとは?

 リアム・ローソンはニュージーランド・ヘイスティングズ出身の21歳。2022年シーズン途中からレッドブルとアルファタウリ両チームのリザーブドライバーを務めている。

 現在はTEAM MUGENから日本のスーパーフォーミュラへ参戦。ルーキーイヤーながらもこれまでに3勝を挙げ、2戦を残してランキング2番手につけている。

■F1オランダGPでカーナンバー何番をつける?

 ローソンは今週末、カーナンバー40を使用する。昨年のベルギーGPやメキシコシティGPのFP1でもこのカーナンバーを使用していた。

■ローソンのレースキャリアは?

 7歳でカートを始めたローソンは、2017年にオーストラリアF4でランキング2位に輝き、2018年にADAC F4とアジアF3に参戦すると、それぞれランキング2位とランキング8位を獲得した。

 2019年にはFIA F3にMPモータースポーツから参戦。ルーキーイヤーで2度の表彰台獲得を記録して、ランキング11位となった。同年にはM2コンペティションからトヨタ・レーシング・シリーズにも参戦し、5勝と11回の表彰台獲得でチャンピオンに輝いた。

 ローソンは2020年も継続してF3に参戦。この年はハイテックに移籍し、計3勝と6回の表彰台を獲得してランキング5位となっている。

 ローソンは2021年からF2に昇格。ルーキーイヤーはハイテックから参戦して、優勝1回、表彰台3回、ポールポジション1回を獲得しドライバーズランキング9位でフィニッシュした。

 ローソンは2021年、ドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)にも参戦。レッドブルAFコルセのドライバーとして、現在はウイリアムズからF1に参戦するアレクサンダー・アルボンと共に熱戦を繰り広げた。

 しかしノリスリンクで行なわれた最終戦でローソンは、ライバルのケルビン・ファンデル・リンデに追突されてサスペンションに大きなダメージを負って、最後尾へ。マキシミリアン・ゴッツがメルセデス勢のチームオーダーの助けを得てタイトル奪取したことで、ローソンはランキング2位となった。

 F2での2年目は4勝と10回の表彰台を獲得し、フェリペ・ドルゴビッチとテオ・プルシェールに次ぐランキング3位。そして翌年からスーパーフォーミュラに戦いの場を移している。

いつからレッドブル育成に加入した?

 ローソンをスーパーフォーミュラへ送り込んだのもレッドブル。過去にはピエール・ガスリー(現アルピーヌ)やダン・ティクタム、パトリシオ・オワード、ルーカス・アウアーなども同様のステップを踏んでいる。

 ガスリーがデビューイヤーでタイトル争いに加わり、翌年からF1フル参戦を果たしたように、開幕戦で鮮烈なデビューウィンを飾ったローソンが早ければ今年にもニック・デ・フリーズに代わってアルファタウリからF1昇格を果たす可能性があると考えられていた。

 しかしアルファタウリは現在の低迷から脱却するために経験豊富なドライバーの起用を希望しており、リカルドがデ・フリーズの後任として選ばれた。

 ローソンはまずスーパーフォーミュラで結果を残し、レッドブルに自身が来年F1に昇格するに相応しいと納得させることが目標だと語っていた。

 ひょんなことからオランダGPでF1デビューを果たすこととなったローソン。現在はF2でレッドブル育成トップの岩佐と来季のF1シートを争う状況にあるが、今回のチャンスを活かせれば、来季のシートをグッと手繰り寄せることができるかもしれない。