怒りのオコン、ピレリのフルウエットタイヤ装着は“最悪の判断”とバッサリ「どんな状況でも履きたくない」
オコンはこの判断に怒りを露わにしていたが、レース後にもフルウエットタイヤは「正しいタイヤではなかった」と強調している。そして、インターミディエイトタイヤの排水能力を超える雨が降るコンディションでは、おそらく赤旗が振られることになるだろうと主張している。
チームメイトのピエール・ガスリーが3位表彰台を獲得してアルピーヌに弾みをつけたこの日、オコンは最終的に10位で1ポイントを獲得したものの、もっと良いレース運びができたはずだと考えている。
レース1周目に雨が降り注いだことで、アルピーヌはまず予選順位が上のガスリーを先にピットへ呼び、オコンは2周目の終わりにピットインしてインターミディエイトタイヤへと交換した。この時点でオコンは1周分の後れを取ることとなった。
レース終盤の雨でもアルピーヌはダブルストップするのを嫌い、再びオコンのピットインを1周遅らせた。
オコンがピットへ向かう時、エンジニアは大雨が降っているため、インターミディエイトタイヤではなくフルウエットタイヤを投入することを告げた。
オコンはすぐさまその判断に疑問を呈し「インターミディエイトタイヤで行こう」と答えるも、彼に与えられたのはフルウエットタイヤだった。
この時点でオコンはフルウエットタイヤを履く唯一のドライバーに。自身の意見を退けられたオコンはピットアウト後「これは最悪の決断だよ。最低だ!」と怒りを露わにした。
オコンは「少なくとも5分間は嵐のような雨が降る」と言われたものの「そうだね。でもドライブできない状況なら、赤旗が出るよ」と答え、実際オコンの言う通りになった。
この雨によってアルファロメオの周冠宇がターン1でクラッシュ。レッドブル勢がインターミディエイトタイヤからフルウエットタイヤへ交換したところで、赤旗が提示された。
赤旗中断中、ピットレーンで停車したオコンのコックピットカメラには、苛立って頭を振る姿が映っていた。
オコンは11番手でレース再開を迎え、メルセデスのジョージ・ラッセルがパンクにより後方へ下がったことで、10位フィニッシュ。入賞こそできたものの、もっと多くのポイントが獲得できたとオコンは考えている。
「残念なことに、結局僕らはポイントを失ってしまった」とオコンは言う。
「フルウエットの判断には納得がいっていない。1周遅いピットインも遅すぎた」
「僕のタイヤがガレージに用意されていなくて、無線でお願いしたラップでピットインできなかった。だからウエットコンディションなのにスリックタイヤで走らなきゃいけなくて、ポジションを5つ落とした。それで6番手から11番手になってしまった」
motorsport.comがレッドブルもウエットタイヤに履き替えたことで、アルピーヌの判断も正しかったのではないか?と尋ねると、彼は次のように答えた。
「いや、(フルウエットタイヤは)どんな時も正しいタイヤじゃない。まず、レッドブルならフロントがしっかりしている。でも僕らにはその余裕がない」
「そしてもうひとつは、フルウエットを履かなきゃいけないなら、赤旗の状況だ。実際、そうなったよね」
「フルウエットの方が遅いからっていう訳じゃない。フルウエットに適した状況は、F1マシンに適した状況じゃないんだ」
また、ガスリーらがピットストップを行なった1周目にタイヤを変えられなかったことも悔しいとオコンは言う。
「まあ、スパ(ベルギーGP)でもここでも、こういうことがあった。仕方ないことだ」
「でも、それを差し引いても今回は6位フィニッシュが可能だった。最後のピットストップで大きな代償を払うことになった」