ベルギーGPの際に行なわれたF1委員会ではパワーユニット(PU)のパフォーマンス均等化が議題となった。これはルノー製PUがメルセデスやフェラーリ、レッドブルパワートレインズ・ホンダのPUに対して30馬力ほど劣っており、開発凍結が行なわれている現状では挽回のチャンスがないとアルピーヌが主張したことが発端だった。
ただこれに対してライバルチームは反対の姿勢を示しており、メルセデスはルノー製PUがそれほど劣っていないとするフェラーリの意見に賛同している。
現行PUレギュレーションでは、2022年からパフォーマンス面での開発が凍結。許されているのは信頼性に関する開発のみだ。
アルピーヌ首脳陣はPUのパフォーマンスが不足していることから、パフォーマンスの均等化について賛同してくれるかどうかを他チームと話し合いを行なった。
しかし、フェラーリのフレデリック・バスール代表は、アルピーヌが主張するパワー差について疑問を呈している。彼は「完全に勝負権のない」メーカーには例外的な措置を認めることができるが、「ルノーがそれほど遠くにいるとは思えない」と語っている。
これについてはメルセデスのウルフ代表も同様の意見を持っている。メルセデス独自の測定によると、ルノーPUのライバル勢に対するパフォーマンス不足は3%以内にとどまっており、特別な措置が認められるほどではないという。
ルノーに開発を認めるべきか、と尋ねられたウルフ代表は次のように答えた。
「レギュレーションをどのように決めたかというと、2026年に向けて仮にベストPUから3%以上離されたPUコンストラクターがいたら、彼らにテストベンチでの時間を増やすことを認めることになっている。そして我々は誠意を持って行動し、レギュレーションを履行する」
「今、我々は2026年について話している訳ではないが、中間点にいる。レギュレーションが凍結されているのは確かだ。ただフレッド(バスールの愛称)の言う通り、3%に近い差は見当たらない」
そしてウルフはレギュレーションをその場で変更することはできず、ルノーが独自に解決する必要があると付け加えている。
「そしてもうひとつ。誰かがパフォーマンスを発揮できないからといって、土壇場でレギュレーションを作り上げることはできない。だから、次世代のためにレギュレーションを変更しようとするのであれば構わないが、3%以内の差なら問題ないだろう。PUを調整したり、燃料流量を増やしたり、といったことはしない」
「自分たちで頑張ればいい。それは我々も同じだし、3年後には舌を噛んでいるかもしれない。努力を重ね、より多くのテストベンチをこなし、解決するんだ」