アストンマーチンF1、オランダGPで投入した”蝶ネクタイ”型超小型ウイングは、亀裂確認で使用停止。堅牢版を開発中?
しかし、金曜日のフリー走行で試した結果、この超小型ウイングには亀裂が生じている兆候が見られたため、チームはマシンから取り外すことを決定。残りの週末は、このウイングなしで走行することになった。しかし同チームのパフォーマンス・ディレクターを務めるトム・マッカローによれば、より堅牢なバージョンが準備中であるという。
今シーズンは開幕から好調な走りを見せ、表彰台の常連となったアストンマーチン。しかし前半戦の終盤ともなるとその勢いが削がれ、なかなか表彰台を獲得できないレースが続いた。
しかしアストンマーチンは、後半戦の初戦となったオランダGPにアップデートを投入。全面的に改良が施されたフロアを投入してきた。
このフロアの効果をさらに高めるために開発され、マシンに搭載されたのがこの超小型ウイングである。マシンのリヤエンド中央部、衝撃吸収構造の下に小型のウイングレットを追加し、ディフューザーの効果を高めようとしたのだ。
「その領域で発生すべき吸引力が発生しているかどうか、空力面で確認するための単なる実験だった」
マッカローはこの小型ウイングについてそう語るが、信頼性を確保することができず、実戦投入が見送られたという。
「残念ながら、コース上では十分な信頼性を得ることができなかった。そこで予防措置として、当面はマシンから取り外すことを決めたんだ」
「しかしそれはまだ検討中のモノだ。ピットレーンにいる他のチームが、それをやるとは思えない」
マッカローは、今回確認された問題について、さらに次のように語った。
「亀裂が入っていたんだ。だから我々はそれを外すという決断を下した。しかしそれは、どちらかといえばテストアイテムであり、アップデートパッケージの一部だった。ルールで許されている範囲内の全ての領域を活用して、できる限り多くのパフォーマンスを引き出すことを試みようとしただけだ。我々は、より堅牢な解決策を検討するつもりだ」
実はこのウイングレットは、数ヵ月前の段階でアイデアが持ち上がっていたという。しかしリヤの衝撃吸収構造の下は、ピットストップ時にジャッキを差し込み、マシンを持ち上げる際に活用される重要な部分。そのため、この小型ウイングレットが搭載されていても問題なくマシンを持ち上げることができるジャッキの開発も、並行して行なわねばならなかったという。
「このアイデアは、実際には数ヵ月前に空力のデザインチームが思いついたモノだった」
そうマッカローは説明する。
「実際に投入されるまでに時間がかかった理由は、マシンをジャッキアップするための、リヤジャッキの開発にあった」
「マシンにダメージを与えたり、ピットストップのスピードを落とさずにジャッキを使うことができるかどうかを確認するために、たくさん練習した。ようやく投入することはできたものの、まだ十分な堅牢性は得られなかった。ただ、これを使うのを諦めたわけじゃない」
オランダGPの金曜日には、フェルナンド・アロンソが新旧両方のバージョンを比較テストした。その結果は良好であったため、土曜日と日曜日には、2台のマシンのこの小型ウイングレットを除いた新型のフロアパッケージが使われることになった。
「今回投入したアップデートは、フロア周りに重点を置いている」
マッカローはそう語る。
「つまり、フロアが全体的に異なっているんだ。フロア全体に微妙な変化がある。これは、ここ最近のイベントで投入してきたアップデートの続きと言えるモノで、パッケージ全体が連携して機能している」
「ブレーキダクトも一部変更されている。それは小さなことの繰り返しだが、全てはこのマシンを継続して開発する、その段階の一部なのだ」