F1第15戦イタリアGPのフリー走行2回目は、フェラーリのカルロス・サインツJr.がトップタイムをマークした。

 今季のヨーロッパラウンド最終戦、スピードの殿堂とも呼ばれるモンツァを舞台としたイタリアGP。今回は試験的にタイヤのセット数を減らしたATA(代替的なタイヤ配分)でのレースとなる。

 そのためFP1からタイヤを温存し、上位勢がハードタイヤ1セットで60分のセッションを走り切るなど、普段とは異なるプログラムでの走行も多く見られた。

 現地時間17時からスタートしたFP2は、気温26度、路面温度36度というコンディション。まずはミディアムまたはハードタイヤで走り出すマシンが多かったが、ウイリアムズのローガン・サージェントはソフトタイヤを履いた。

 しかしセッション開始から3分、アストンマーチンのランス・ストロールがアスカリ・シケイン脇でマシンストップ。これでセッションは赤旗中断となってしまった。

 ストロールはチームからの指示で再スタートを試みたものの、結局動き出すことはできず。FP1ではフェリペ・ドルゴビッチがストロールのマシンをドライブしており、ストロールは1周しか走行できずにイタリアGP初日を終えることになってしまった。

 残り時間50分でセッション再開。ここでミディアムタイヤを履いたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が1分22秒259をマークし、タイムシートのトップに。ソフトタイヤを履いたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)が、レッドブル勢の間に割って入る2番手タイムをマークした。

 ATAによって、各コンパウンドのタイヤで予選アタックをする可能性があるため、各車が1セット目のタイヤでもアタックをしようとコース上でスローダウン。最終コーナー手前では大渋滞が発生するシーンもあった。

 ミディアムタイヤでのアタックではフェラーリ勢がポジションを上げワンツーに。この日が29歳の誕生日であるサインツJr.がタイムシートのトップに立った。またソフトタイヤを履いたフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が3番手につけた。

 セッション折り返しを過ぎると、新品のソフトタイヤでコースインするマシンが増加。予選Q3を想定したアタックを実施した。

 ここでペレスが1分21秒540をマーク。サインツJr.がミディアムタイヤで出したタイムを0.025秒上回りトップとなった。フェルスタッペンは第2セクターでトラフィックをかき分けながらのアタックとなったこともあり、3番手に留まった。

 さらに印象的な速さを見せたのがマクラーレン勢。ランド・ノリスが1分21秒374を叩き出してトップに立った他、オスカー・ピアストリも3番手に飛び込んだ。

 しかし、ソフトタイヤでの最初のアタックを中断していたサインツJr.が、2度目のアタックでタイム更新。1分21秒355でトップを奪還した。

 ここでアタック合戦は一段落。セッション残り20分を切ると、各車がロングランを開始した。主にミディアムタイヤのデータを集めるチームが多かったが、ハース勢やピアストリはハードタイヤでラップを重ねた。

 すると、ミディアムタイヤで快調にラップを重ねていたペレスが最終コーナーのアルボレート(旧パラボリカ)でクラッシュ。リヤウイングをウォールに当てた後、グラベルで動けなくなってしまい、セッションは赤旗中断となってしまった。

 セッションは残り4分で再開。少しでもデータを集めようと各車続々とコースインし、隊列の中で走行しながら60分のセッション終了を迎えた。

 結局セッショントップとなったのはサインツJr.。サーキットに詰めかけたフェラーリのファン”ティフォシ”の前で、誕生日にトップタイムを記録してみせた。

 2番手はノリス。4番手にもピアストリが入った。マクラーレンはトップスピードが弱点とされていたが、モンツァ仕様のウイングが効果を発揮しているのかもしれない。

 レッドブル勢はペレスが3番手、フェルスタッペンが5番手。フェルスタッペンはトラフィックの影響でアタックに満足がいっていない様子だっただけに、ポテンシャルはまだあると見るべきだろう。ロングランはペレスのクラッシュで中断されてしまったものの、2台のペースはライバルたちよりも1周コンマ数秒速く、レースペースは一歩上といった状況のようだ。

 このセッションでトップ6を分け合ったフェラーリやマクラーレン、そしてレッドブルが、予選でポールポジションを争いそうな様相だ。

 7番手につけたアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)も面白い存在。トップスピードも下馬評通り速く、このセッションのベストタイムをミディアムタイヤで記録している。

 8番手フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)はソフトタイヤ1セットでFP2を走り切っており、ストロールがストップしたこともあってアストンマーチンの実力は未知数だ。

 アルファタウリの角田裕毅は14番手。リアム・ローソンは18番手となっているが、中団はいつものように接戦となっている。予選ではいかにトラフィックの悪影響を避け、各タイヤコンパウンドのパフォーマンスを引き出すかが重要となってくるはずだ。