アストンマーチンは、2023年のF1マシンである『AMR23』の開発をシーズンの”奥深く”まで続ける予定であり、そこにはすでに開始されている来季マシンの開発で得られた知見も活かされているという。

 予算制限と、風洞およびCFD(コンピュータ流体解析)の作業時間を制限する空力開発制限(ATR)により、チームは早い段階で翌シーズンに向けたマシン開発に着手することを余儀なくされている。

 7月1日にATRが下半期に切り替わったことで、今季途中のランキングが風洞やCFDの制限に反映された。この結果、昨年のコンストラクターズランキング7位だったアストンマーチンは同3番手まで浮上したことで、空力開発時間を20%失っている。

 ただチームは来季マシン『AMR24』の開発は順調に進んでおり、AMR23のアップデートにも良い影響を及ぼしていると説明した。

 パフォーマンス・ディレクターのトム・マッカローは、「言うまでもないが、2024年のマシン開発はかなり早い段階から始めなければならない」と語った。

「クルマについての我々の哲学は、18ヵ月前から継続して理解が深められている」

「当然、可能な限り競争力を高めるために常に哲学はチューニングされている。24年のマシン開発で学んだことを、23年のマシンに活かすことができる」

「もちろん、サーキットで目にするものは常に開発サイドから数週間、数ヵ月遅れている。でも、今年はまだそれなりにハードにクルマを開発しようとしているし、いくつかのパーツも用意されている」

「2024年(のマシン開発)から学んだことのいくつかを今年のマシンに移すことができる。今年はまだ多くのレースが残っているしね」

 フェルナンド・アロンソがマックス・フェルスタッペンに次ぐ2位でフィニッシュした先週末のオランダGPに、アストンマーチンは大幅な改良を施したフロアを持ち込んだ。FP1では、ディフューザーの後ろに小さなミニウィングレットも搭載されていた。

 マッカロー曰く、これらの新パーツは”シーズン奥深くまで”開発を進めるというチームの計画を反映したものだという。

「実は、まだかなりの数のパーツが控えているんだ。もちろん、多くのパーツはサーキットに来るまでに数週間から数ヵ月かかる」

「風洞やCFDでの実際の開発作業は言うまでもなく少なくなってきているが、我々の来季マシンであるAMR24から、今年のマシンに転用できる部分が見つかることもある」

「予算制限の面から言って、そうするマージンはある。だから、我々はシーズンのかなり奥深くまで、パーツを持ち込みたいと思っている」