F1アンバサダーのマッサ、2008年タイトル巡る法的手続きのためイタリアGPに姿現さず。F1側からの要請か
F1アンバサダーはF1のロゴ入りのシャツを着て各シーズン一定数のグランプリに参加し、パドッククラブでのゲストとの交流や解説といった仕事を行なっている。マッサ同様にミカ・ハッキネンやジャック・ビルヌーブ、デビッド・クルサードなどがF1とこのアンバサダー契約を結んでいる。
ただ、マッサは現在グランプリに顔を出しにくい状況となっている。というのも、マッサは2008年のシンガポールGPで起きた“クラッシュゲート”がその年のタイトルに与えた影響について、F1及びFIAを相手に法的手続きを開始したからだ。
シンガポールGPではルノーがフェルナンド・アロンソを勝たせるべく、チームメイトのネルソン・ピケJr.に故意にクラッシュさせた。この件でレースは混乱し、マッサはポイント圏外でフィニッシュすることになった。
今年に入り、元F1最高責任者のバーニー・エクレストンが、クラッシュゲートの存在は2008年のシーズン終了前にF1とFIA関係者の間で知られていたことだと暴露。仮にシンガポールGPの結果がチャンピオンシップから除外されていれば、マッサがタイトルを獲得していた可能性があり、今回の騒動に繋がった。
先月、マッサの弁護士はFIAのモハメド・ベン・スレイエム会長とFOMのステファノ・ドメニカリCEOに宛てて、マッサが「陰謀の犠牲者」であるとする“請求前書簡”を送付した。
マッサの弁護団はクラッシュゲートが結果的に、数百万ドルの損失だけでなく、“モラル”と“評判”を傷つけたと示唆している。
渦中のマッサは元フェラーリドライバーであり、イタリアでも人気者。今週末にモンツァで開催されるイタリアGPにも例年通り参加し、旅費とホテル代はF1が負担する予定となっていた。
ただ、ある関係者が確認したところによると、今後も個人的にレースを観戦することは可能であるものの、マッサがF1アンバサダーとしてレースに参加することは現状適切ではないとの話し合いが行なわれたとのことだ。
マッサ自身、自分の存在がメディアの関心を引くことは避けられず、パドック内を動き回ることが難しくなると認識したかもしれない。
マッサとF1の間でどのような会話が行なわれたのかは不明だが、マッサは特にイタリアGPを欠場するよう求められたようだ。
マッサの広報担当者は次のように語っている。
「マッサは既に航空券を購入していたが、月曜日にF1の上層部の人物から電話を受け、モンツァには行かないよう要請された」