フェルスタッペンは止められない! 前人未到の10連勝達成。レッドブル1-2でフェラーリの夢打ち砕く|F1イタリアGP決勝
舞台は伝統のモンツァ。ストレート性能が物を言うカレンダー屈指のパワーサーキットだ。
今回のイタリアGPは週末を通して天候に恵まれ、決勝が行なわれた日曜日も青空がサーキットを包んだ。レース前のコンディションは気温29度、路面温度43度という状況だった。
多くのマシンがスタートタイヤにミディアムタイヤを選択。8番手のルイス・ハミルトン(メルセデス)を含む数台がハードタイヤを選んだ。
フェラーリの熱狂的ファン“ティフォシ”が見つめる中、現地15時にフォーメーションラップがスタートしたものの、11番手スタートの角田裕毅(アルファタウリ)にエンジントラブルが発生。最終アスカリ(旧パラボリカ)を前にマシンを止めることとなった。
残る19台は追加フォーメーションラップを走ったものの、角田のマシン撤去に時間を要したことでスタートがアボートとなった。
予定から20分遅れで三度フォーメーションラップが開始。53周のレースは2周減算で決勝レースがスタートした。
好スタートを決めたのはポールシッターのカルロス・サインツJr.(フェラーリ)。フロントロウスタートのフェルスタッペンを抑えて首位でオープニングラップを回り、後方までクリーンなスタートとなった。
3周目にDRSが使用可能になると、フェルスタッペンはサインツJr.に接近。6周目のターン1でアウトから一度フェルスタッペンが前を伺うも、ここはサインツJr.が攻撃をはねのけた。
トップスピードが伸びるフェラーリに対し、攻め手を欠くフェルスタッペンにレッドブルはエンジンモードの変更を指示。サインツJr.はフェルスタッペンに対して必至の抵抗を繰り広げるも15周目のターン1で痛恨のロックアップ……シケインの立ち上がりからサイド・バイ・サイドで粘るも、先行首位陥落となった。
トップに立ったフェルスタッペンはペースアップ。サインツJr.は「タイヤが終わった」とチームに告げ、19周目終わりにピットでハードタイヤに交換。首位フェルスタッペンはその翌周にピットへ入った。
28周時点で首位はフェルスタッペン。5.5秒差でサインツJr.が2番手となったが、その後も1周0.2〜0.4秒ずつ離されていった。
サインツJr.の後ろにはチームメイトのシャルル・ルクレール、セルジオ・ペレス(レッドブル)の2台がDRS圏内で続いた。ピットストップ後、ルクレールはサインツJr.に接近していたものの、次第にペレスに対して防戦を強いられる形に。ターン1でしのぎ続けるも、ペレスが32周目のホームストレートで先行した。ただ、4番手に落ちたルクレールはペレスから離されることなく続いた。
そこから後ろに目を移すと、5番手を単独でジョージ・ラッセルが走行。アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)がストレートスピードの速さを活かしてマクラーレン勢の行く手を塞ぎ、6番手を守り続けた。
その6番手争いには大方のドライバーと異なるタイヤ戦略を取ったハミルトンが加わり、8番手のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)に接近。ハミルトンは42周目に抜きにかかるもターン4へのブレーキングでハミルトンの右リヤタイヤとピアストリの左リヤタイヤが接触し、フロントウイングを破損したピアストリは緊急ピットインで大きくポジションを落とした。
ハミルトンはこの後ランド・ノリス(マクラーレン)とアルボンを交わしたものの、ピアストリとの接触により5秒のタイム加算ペナルティが科された。
2位争いに視線を戻すと、サインツJr.対ペレスのバトルが白熱。サインツJr.はターン1〜2のシケインでペレスの走行ラインを潰してディフェンスを続けた。
ペレスはその走りに不満を漏らしたが、ルクレール攻略と同様に46周目のホームストレートで2番手にポジションを上げた。
フェルスタッペンは首位に立ってからは無風状態。ペレスに7秒の差を築いてファイナルラップを周り、そのままトップチェッカーを受けた。これでフェルスタッペンは前人未到の10連勝を達成。今季の勝利数を12に上げた。
レッドブルとしても昨年の最終戦アブダビGPから続いて15連勝。新記録をフェルスタッペンとペレスの1-2という形で打ち立てた。
3位はサインツJr.。ペレスに交わされて以降、ルクレールから激しいプレッシャーに晒されるも表彰台の座を守りきった。ルクレールは4位フィニッシュだ。
メルセデスのふたりは他車との接触によりタイムペナルティが科されていたものの、5〜6位で変わらず。アルボンが7位、ノリスが8位、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が9位に入り、10位の1ポイントをバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)が掴んだ。
これで今季はヨーロッパでのグランプリが終了。ここからシンガポールGP、日本GPとフライアウェイラウンドが開幕することとなる。