F1オランダGPの初日にクラッシュし、左手の中手骨を骨折したダニエル・リカルド(アルファタウリ)。レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表によれば、リカルドがカタールGPよりも前に復帰するのは難しいという。

 ニック・デ・フリーズの後任として、ハンガリーGPからアルファタウリに復帰を果たしたリカルド。しかしオランダGPの初日にクラッシュし、キックバックしたステアリングホイールに左手をぶつけてしまったことで、中手骨を骨折。すぐにバルセロナに移動し手術を行なったが、オランダGPとイタリアGPを欠場することになった。

 リカルドはそもそも今季は、レッドブルのサードドライバーを務めており、現状ではレッドブルがアルファタウリに”レンタル”した格好。そんなリカルドは早期の復帰を目指しているが、次のシンガポールと日本の連戦で復帰するのは早すぎるだろうと、ホーナー代表は考えているようだ。

「次は確かにシンガポールだが、それまでに彼の準備が整っている可能性は全くないと思う。日本で復帰するのも、楽観的すぎると思う」

 リカルドの復帰時期について尋ねられたホーナー代表はそう語った。

「しかし、彼は順調に回復していると思う。明らかに手が動きにくくなっていたから、現在リハビリ中だ」

「オートバイレースのライダーたちが急いで復帰すると、よりダメージが大きくなることがあるという事例を見てきた。だから我々は、彼がクルマに戻る前に、完全に準備が整っていることを確実にしたいだけだ」

 リカルドが怪我をしたことで、その代役としてリアム・ローソンがオランダGPの土曜日から急遽代役を務めることになった。ローソンにとってはこれがF1デビューだったが堅実な走りを見せて完走。続くイタリアGPでは、入賞まであと一歩と迫る11位でフィニッシュした。

「今回、彼は堅実な仕事をしたと思う」

 ローソンのパフォーマンスについて、ホーナー代表はmotorsport.comに語った。

「私は彼のレースを、それほど詳しく観察していたわけではない。彼らは2ストップを狙ったが、これは今日のレース戦略では型破りだった」

「レース後の分析を見てみる必要があるが、彼はうまくやったと思う」

 オランダGPで土曜日からバトンを引き継ぐ形でF1デビューするのは、ローソンにとっては簡単なことではなかったはずだ。また次のシンガポールで走ることになれば、F1で初の市街地サーキットということになり、これも簡単な戦いにはならないだろう。一方で日本GPの舞台である鈴鹿サーキットは、今季スーパーフォーミュラに参戦中のローソンにとっては、よく知ったコースであるとも言える。

「彼は鈴鹿で走ることを熱望しているだろう。しかし我々は、(リカルドの)回復と身体の機能がどうなるか、それを日々見極めていくだけだ」

 ホーナー代表がそう語れば、ローソンも先のことをあまり考えるつもりはないと語った。

「もしそうなればね。チャンスがあればね」

「何が起きるか分からない。だから、いつも通りに準備するだけだ。でも、どうなるかを見ていくよ」